位牌の選び方 【更新日】
お位牌は夫婦でも1人に1本が基本ですが夫婦位牌にまとめることもできます
夫婦位牌は「めおといはい・ふうふいはい」と読み、夫婦連名で1本(1柱)のお位牌を作る場合の位牌のことを指します。
基本的に、お位牌は1人に1本ご用意するものですが、仏壇に祀る夫婦のお位牌を1本にすることで、ご夫婦が極楽浄土でも仲睦まじくいられる印象を与えることが出来ます。
通常お位牌を作るタイミングはご夫婦でも別々ですので、先に作られた方のお位牌だけが古くなり、文字がぼやけたり、線香のヤニなどでお位牌がくすんで見劣りすることがあります。
このように夫婦のお位牌に見た目の差がでないように、再び一緒になれるタイミングで夫婦位牌に作り変える方が増えています。
目次
お位牌を夫婦で1本にすると仏壇内がゆったりし、位牌の見た目の差がありません
お位牌は魂のよりしろですので、通常は1人1本お作りするものです。
ご夫婦の場合は先に作られたお位牌の大きさに合わせて、後に作るお位牌を同じ大きさに揃えますが、この時お仏壇のサイズによっては窮屈になってしまう場合があります。
また、先に作られた夫婦どちらかのお位牌が、伴侶のお位牌を作る時には既に古くなっていて、線香のヤニやローソクのすす、日焼けや文字のかすれ等が目立つようになっていると、新たに作られたお位牌と比べて見劣りしてしまう場合もあります。
夫婦のお位牌に見た目の差があることに抵抗をもつ方は、先に作られたお位牌も合わせて一緒に同じお揃いのお位牌に作り直したいとご希望されるようです。
このように、限られた仏壇内のスペースや、お位牌に見た目の差が出てしまうことを気にされて、ご夫婦のお位牌を1つにして夫婦位牌とされるケースが増えています。
ご夫婦のお位牌を作り直す場合には、夫婦別々に2本のお位牌を作り直すよりも1本の夫婦位牌にしたほうが費用も少なく抑えられるという点も夫婦位牌が注目されるようになった理由でしょう。
夫婦位牌は巾広位牌か4寸以上の大きめのお位牌を使います
夫婦位牌をつくられるタイミングや理由は主に2つあります。
既にご夫婦どちらかの位牌があり、新しく位牌を作る場合
先にご夫婦どちらかのお位牌があり、後に亡くなった伴侶の方のお位牌をつくる時に、再び夫婦一緒の夫婦位牌にまとめて1本の位牌にする場合。
夫婦の位牌が1本ずつあり、1つの夫婦位牌にする場合
既にご夫婦ともに1人1本のお位牌があり、仏壇を受け継いでいる子孫が仏壇の買い替えや、お位牌の追加などで仏壇内が狭くなってきてしまい、お位牌をまとめたいとお考えの場合。
この他にも、最初から夫婦位牌をお作りされる場合もあります。
大きめのお位牌に先に亡くなった方の文字入れをし、伴侶の分の文字を後から入れられるようにスペースを開けておきます。
ただし、この文字入れのスペースを開けておくことに違和感を覚えたり、なにか縁起が悪いような印象を受ける方も多いため、あまり行われません。
いずれの場合も2名分の文字入れをいたしますので、あまり小さいサイズのお位牌では文字が入れられない場合があります。
夫婦位牌に適した巾広位牌という幅を広く取ってある位牌がありますので、夫婦位牌をお作りになるときは巾広位牌をお使いになると良いでしょう。
夫婦位牌は宗派、地域などにより好まれない場合もありますので、菩提寺へご相談の上お作りいただくことをお勧めいたします。
回出位牌にまとめる時には夫婦位牌は1枚ずつにわける事が多いです
最近では小さな仏壇をお求めになる方も多く、受け継いだお位牌が入り切らないので回出位牌(くりだしいはい)にまとめるという場合も多くあります。
回出位牌はいくつかのお位牌を1つのお位牌にまとめることができるお位牌ですが、夫婦位牌はもともとが2つのお位牌を1つにまとめた物ですから、この夫婦位牌を回出位牌にまとめるときはどうしたら良いのでしょうか?
基本的には、回出位牌の中に収められる札位牌は1人1枚です。
夫婦位牌でも各自1枚づつに札板を分けるのが一般的です。
夫婦でも命日が違う場合がほとんどですので、命日により中札の順番を変える必要がある回出位牌では夫婦位牌でもそれぞれ1枚札に分けた方が良いでしょう。
回出位牌では命日には一番前にその方の札板をもってきてご供養を致しますので、夫婦連名の板札ですと、ご夫婦どちらの命日かわからず混乱してしまう事があるためです。
ただし、厳密にそうしないといけないと決まっているわけではありませんので、ご夫婦や子孫の方の思いが強ければ、回出位牌でも夫婦連名にされても問題はありません。
婦位牌への文字入れ方法は「交差側」「真裏型」どちらでもよい
夫婦位牌への文字入れの仕方は、通常のお位牌への1名分の文字入れの仕方とは違い、ご夫婦の文字入れを左右に並行に行います。
文字入れのレイアウトの種類は「交差型」と「真裏型」の2種類あります。
「交差型」
表裏どちらもお位牌に向かって右側が男性、左側が女性に文字入れをします。
「真裏型」
表側の文字の真裏に、同じ方の文字が来るように文字入れします。
いずれの場合も女性が夫婦位牌に向かって左側、男性が夫婦位牌に向かって右側に文字入れします。
また、夫婦位牌への文字入れの内容は全部で4つあります。
戒名(法名)
戒名(法名)は、基本的に白木のお位牌に書かれている文字をそのまま文字入れします。
没年月日
お亡くなりになられたお日にちを、そのまま文字入れします。
故人のお名前(俗名)
生前のお名前をそのまま文字入れしますが、お名前の前後に「俗名」や「事」がついている場合があります。
故人の年齢
お亡くなりになられた年齢になりますが、白木のお位牌に書かれている年齢の上に「享年」や「行年」がついている場合があります。
この4つの文字入れを2名分行いますので、夫婦位牌としてつかうお位牌はある程度の幅が必要になります。
この夫婦連名にするため幅を広くつくってある種類の位牌を「巾広位牌」と言います。
巾広位牌ではないお位牌を使いたい場合は、4寸以上の大きさのお位牌をつかわないと、夫婦位牌としての文字入れは難しいでしょう。
一般的には並列に2名分のお名前を文字入れしますが、俗名に関しては夫婦共通で真ん中に文字入れする場合もあります。
夫婦位牌を作る前に確認しておきたい4つの事
夫婦位牌を作る上では、使用上の現実的な問題からご供養の作法の問題まで、いくつか気をつけておきたい点があります。
位牌のサイズの確認
夫婦位牌では巾広位牌か、大きめの4寸の位牌を使いますのでお仏壇にはいるサイズである事をあらかじめ確認しておきましょう。
また、ご先祖様よりも大きなお位牌は良しとされない風習も地域によってはありますので、お位牌を夫婦位牌に作り直すときには親類にも確認をとっておくと安心です。
命日が分かりづらくなる
夫婦位牌では、それぞれ命日の違う人のお位牌を1つのお位牌にしますので、命日の供養の際にご夫婦どちらの命日かが分かりづらくなります。
回出位牌の板札を夫婦の連名にした場合も同じ問題が起きますので、ご供養の際にはどちらの命日のご供養なのかが分かる工夫が必要となります。
魂抜きの費用がかかる
夫婦位牌をつくる際には、既にあるご夫婦どちらかのお位牌から「魂抜き」を行う必要があります。
魂抜きをして、ただの位牌にもどしてからでないとお焚き上げ供養が出来ません。
お寺様にて前の位牌の魂抜きを行った後に新しい夫婦位牌に「魂入れ」を行います。
お位牌の値段によっては魂抜きの費用の方が高い場合もあります。
夫婦位牌を良しとしない地域やお寺様もある
そもそもの「夫婦位牌」自体を歓迎しない地域やお寺様もありますので、事前に菩提寺へご確認ください。
夫婦位牌は亡くなったあとの極楽浄土でも夫婦仲睦まじく一緒にいられるように、そんな思いから生まれたお位牌です。
命日のご供養の際には、ご夫婦どちらの命日なのかが分かりにくかったり、夫婦位牌を作る際に既にあるお位牌からの魂抜きが必要であったりと、普通のお位牌より手間や費用がかかる部分もありますが、「生前だけでなく位牌になっても一緒でいたい」という考えは素敵なことではないでしょうか?