仏具の選び方 【更新日】
仏具の読み方はご本尊とお位牌、三具足、五供までは読めるようにしておきましょう
仏具は非常に多くの種類があり、よほど仏事に詳しくないと全て仏具の名前を言えないかと思います。
難しい漢字や特別な読み方をする名前もあるので、間違った読み方で覚えている方もいるのではないでしょうか?
自分には関係ないと思っていても、大人になるといつどういう場面でこういった知識が必要になってくるか分かりません。
基本仏具の名称の読み方ぐらいはおさえておいた方が良いでしょう。
少なくともご本尊とお位牌、三具足、五供のそれぞれの読み方や役割などは覚えておきたいですね。
ここでは代表的な仏具の名称の読み方と共に、それぞれの仏具の役割をご紹介します。
目次
仏具の読み方は、まずは中央に祀るご本尊とお位牌から
まずは仏壇の中央部に祀る大切な「ご本尊」や「位牌」関連の読み方から見てみましょう。
ご本尊(ほんぞん)
ご本尊とは信仰の中心として祀られる仏像や掛け軸のことで、宗派によって異なります。
仏像(ぶつぞう)
仏像とは仏の彫像で、ご家庭では木彫仏像が一般的です。
仏像は仏壇中央の「須弥壇(しゅみだん)」に安置し、その両脇には宗派で定められた「祖師像(そしぞう)」を祀ります。
掛け軸(かけじく)
掛け軸のご本尊は、仏を絵像で表したものです。
須弥壇中央にご本尊の掛け軸、左右には祖師像が描かれた掛け軸を掛けるのが正式な祀り方です。
位牌(いはい)
位牌には故人の俗名や戒名が記されていて、故人の魂の依代(よりしろ)とされます。
浄土真宗系の宗派では位牌に魂が宿るとする考え方はもたないので、位牌ではなく「法名軸(ほうみょうじく)」や「過去帳(かこちょう)」を仏壇に飾ります。
法名軸(ほうみょうじく)
法名軸とは亡くなった故人の死亡年月日と法名(戒名)、または一族の法名が記された掛軸です。
過去帳(かこちょう)
代々の亡くなった方の俗名(生前の名前)、戒名(法名、法号)、死亡年月日、亡くなった時の年齢、続柄などを記したものです。
普段は家庭の仏壇の引き出しにしまっておき、月命日には「見台(けんだい)」にのせて仏壇に飾ります。
購入したご本尊やお位牌は、菩提寺で魂入れをしていただいた後に仏壇に安置します。
基本の仏具を使って供養する「五供」の読み方は「ごくう」です
仏壇に祀ったご本尊やご先祖様は様々な仏具を使って供養します。
基本のお供えは「五供」ですが、五供に使われる仏具には色々な読み方があります。
五供(ごくう)
五供は、ご先祖様や故人に供える基本のお供え物「花・香・灯明・浄水(水・お茶)・飮食(ご飯)」を指します。
五供では花立て、香炉、ローソク立て、茶器、仏器を使って供養します。
三具足(みつぐそく)・五具足(ごぐそく)
供養具は宗派によって使う仏具や個数が変わりますが、全ての宗派において最低限必要な基本仏具のことを「三具足」と呼びます。
花立て(はなたて)・花瓶(かびん)
「仏花(ぶっか)」を入れて仏壇に供える器で、故人やご先祖様の霊を花の姿や香りで「花供養」します。
香炉(こうろ)
線香をたいて香煙を仏様に供える「香供養」に使います。
香の煙はその空間や供養している者の心身の穢れを清めてくれます。
ローソク立て・火立て(ひたて)・灯明(とうみょう)・燭台(しょくだい)
呼び方は様々ですが使い方は同じで、ローソクを立てて「灯り供養」に使います。
浄土真宗では「輪灯(りんとう)」が使われます。
五供では三具足(五具足)の他にも、茶器や仏器を使って「浄水(じょうすい)」と「飮食(おんじき)」の供養をします。
茶器(ちゃき)・茶湯器(ちゃとうき)
仏様の乾きを癒すために中に水やお茶を入れて「浄水供養」として供えます。
「湯茶器(ゆちゃき)」や「湯呑(ゆのみ)」とも呼ばれます。
浄土真宗では浄水供養はしません。
仏器(ぶっき)・仏飯器(ぶっぱんき)
仏様の空腹を満たすためのご飯を入れて「飮食供養」をする器です。
真宗大谷派では「仏器」の読み方を使うことが多いそうです。
五供を支える仏具の読み方は比較的カンタンです
日々の供養では前述の五供に使う仏具以外のものも仏壇に置きますが、その読み方は比較的簡単です。
鈴(りん)
全ての宗派において重要な仏具とされる「梵音具(ぼんおんぐ)」で三具足と共に仏壇に置かれます。
もともと読経の開始や終わりの合図や調子をとるために使う物ですが、現在は仏壇に手を合わせる時に鳴らして使う方がほとんどです。
数珠(じゅず)
珠(たま)を使ってお経を唱える回数を数える道具ですが、現在は法要の時に合掌して使う事が多いです。
男性用と女性用に分かれていて、更に各宗派で正式に使う「本式数珠」と宗派に関係なく使える「略式数珠」があります。
線香差し(せんこうさし)
仏前に供えるお線香を立てて入れておくための器で「線香立て(せんこうたて)」とも呼ばれます。
通常は仏壇の上の香炉の近くに置かれます。
仏器膳(ぶっきぜん)
茶湯器や仏飯器をのせて、一段高くして仏様にお供えするためのお膳です。
浄土真宗では「仏器台(ぶっきだい)」を使います。
高月・高坏(たかつき)
脚を高くしてお菓子や餅、果物などを供えるための仏具で「供物台(くもつだい)」とも呼ばれます。
浄土真宗では「供花(きょうか・くげ)」を使います。
段盛(だんもり)
数段ある供物台で使い方は高月と同じで、主に浄土真宗でお菓子などを仏前に供える際に用いられます。
特別な時に使う仏具になると読み方が少し難しくなります
法事などの正式な場や命日、盆正月には特別な仏具を使って盛大に供養しますが、その時に使う盆、卓、台などは色々な呼び方や読み方があります。
霊供膳(れいぐぜん)・仏膳(ぶつぜん)
法事や命日の時に精進料理(しょうじんりょうり)を供えるお膳セットで、親椀(ご飯)、汁椀(みそ汁等)、平椀(煮込み物)、壷椀(煮物やゴマ和え)、高皿(漬物)を入れてお供えします。
霊供膳を「りょうぐぜん」と読んだり「霊具膳」と書いたりもします。
霊供膳は浄土真宗では使われません。
焼香盆(しょうこうぼん)
法要などでの焼香の時に香炉を置くためのお盆です。
仏前で焼香をする脚付きタイプと、座ったまま焼香を行うお盆タイプがあります。
切手盆・長手盆(きってぼん・ながてぼん)
金封などを贈る際に必要な黒塗りのお盆で、法事ではお坊さんにお布施を渡す時に使用します。
盆提灯(ぼんちょうちん)
お盆時期にはご先祖様や故人が迷わず家に戻れるよう、仏壇の前や「精霊棚(しょうりょうだな)」に提灯を飾ります。
初盆では白提灯が使われます。
仏壇を飾る仏具「荘厳具」の読み方は「しょうごんぐ」です
仏の徳を表すため、ご本尊が安置されている場所を飾る「荘厳具(しょうごんぐ)」の読み方は難しいものが多いです。
灯籠・燈篭(とうろう)
ご本尊や仏壇を照らして美しく装飾するための仏具で、仏壇内に吊り下げる「吊灯籠」と仏壇内や前に置く「置灯籠」があります。
瓔珞(ようらく)
仏壇の両側に吊るしてご本尊や仏壇を美しく荘厳します。
打敷・内敷(うちしき)、内布(うちぬの)
仏壇の前卓や上卓に飾って荘厳するための敷物で、打敷や内布とも呼ばれます。
宗派によって布の色や形、柄が異なります。
戸張(とばり)
宮殿中央に付けてご本尊を荘厳します。
水引き中央には「華鬘(けまん)」を下げます。
華鬘(けまん)
うちわのような形をした飾りで、仏堂内陣の欄間(らんま)等にかけて使います。
唐草や蓮華 (れんげ) 等が透かし彫りされていて、下縁にはひもや鈴が垂れ下がっています。
幢幡(どうばん)
主に日蓮宗で使われ、仏像や仏壇を美しく装飾します。
飾りのある竿柱に長方形の布をたらした幡(旗)のようなデザインをしていますが、幡には様々な功徳があるとされます。
御簾(みす)
尊いものを敬って目隠しとして使うすだれです。
仏壇上部の隙間を埋めて仏壇を格式高く演出します。
仏天蓋(ぶってんがい)
仏像の上に掛ける笠状の装飾具です。
天蓋は尊いものを守るふたのような役割を持っています。
豊富にある仏具の名称は難しいものも多く、あまり一般的ではない仏具になればなるほど名称の読み方はもちろん、字面から何に使うのかさえイメージできなかったりしますよね。
まずはご本尊や位牌に関する言葉、そして五供に使う基本仏具の読み方を知っていれば充分です。
それ以外の仏具の読み方は、機会があったら少しずつ覚えていけば問題ないでしょう。