仏具の選び方 【更新日】
曹洞宗では仏具も仏壇も比較的自由にえらべます
曹洞宗は、専ら坐禅に徹する黙照禅(もくしょうぜん)を特徴とする禅宗です。
釈迦の悟りを直接体験するために、日々座談を基本とする修行を行います。
曹洞宗は仏教の他の宗派とは異なり分派がないという特徴があります。
曹洞宗は仏具や仏壇の選択について明確な決まりごとはありません。
しかし、それらを購入する際の選び方や仏壇に飾るときのポイントというのはあります。
もちろん、曹洞宗で祀るご本尊様や脇侍は、他の宗派のものとは異なります。
本記事では、曹洞宗で使用する仏具の紹介や、お祀りするご本尊様、仏壇やお位牌を選ぶ時のポイント、そして仏壇に仏具を並べる際の手順について解説します。
目次
曹洞宗では仏具の選び方に細かい決まりはありません
曹洞宗では、仏具を選ぶときの決まりごとは特にありません。
仏壇まわりの仏具には、様々な色やサイズ、素材やデザインのものがあるのですが、曹洞宗で使う時には、どの種類の仏具を選んでも問題ありません。
ただ、磨き(金色)の仏具は浄土真宗で使用する色なので、それ以外のものを選ぶようにしてください。
仏具のサイズに関して
購入する仏具の大きさは、お持ちの仏壇に合わせて決めるのがいいでしょう。
基本的に仏具のサイズというものは、花立の大きさを基準にして表記されています。
目安になりますが、花立の高さがお持ちの仏壇の高さの10%程度と考えればいいと思います。
例えば、高さ65cm前後の上置き型仏壇に使う花立ての高さは7.5cm、高さ130cm前後の床置型仏壇に置く花立の高さは12.0cm位のものを選択するとちょうどいいでしょう。
曹洞宗で使用する仏具の基本「三具足(五具足)」での飾り方
三具足・五具足
曹洞宗では日常的なお参りには、基本仏具である「三具足(みつぐそく)」を使用します。
三具足は、花立、ローソク立て、前香炉の3つで、仏壇に飾る時には中心に前香炉を置き、その左側に花立、右側にはローソク立てを配置するのが通常です。
祥月命日やお盆など、特別な日には三具足の花立とローソク立てを対にし「五具足(ごぐそく)」で祀ります。
平時でも正式な形で祀りたい場合には、五具足を使用します。
五具足のときの配置は、中心に前香炉、その両脇にローソク立て、その外側に1対の花立を配置します。
茶湯器と仏飯器
三具足(五具足)では、お花や灯り、そしてローソクの灯す火をお供えしますが、それだけではご本尊やご先祖様の喉の渇きやお腹は満たされません。
そのため「茶湯器(ちゃとうき)」に新鮮なお水かお茶を入れ、「仏飯器(ぶっぱんき)」には炊きたてのご飯を盛って、仏壇に供えます。
その時には茶湯器を左、仏飯器を右の配置にして、ご本尊の前に並べましょう。
その他の日々のお参りで使用する仏具
線香立てとマッチ消し
日常のお参りで使う供養具としては、「線香立て」や「マッチ消し」もあげられます。
この2つは香炉の左側に置いておくと便利な仏具です。
三具足(五具足)と茶湯器・仏飯器、線香立てとマッチ消しの5~7つの日々のお参り仏具はセットで購入するのがおすすめです。
お菓子や果物をお供えする仏具「高杯(たかつき)」もセットになっている場合もあります。
リンと過去帳
曹洞宗では他にも、主に仏前で手を合わせる際に使う仏具「りん」、亡くなった方の戒名(かいみょう)や没年月日などを記しておく仏具「過去帳」などを使用します。
曹洞宗でのお仏壇選びは自由
仏壇の選び方も、曹洞宗においてはサイズやデザインに関しての明確な決まりはありません。
曹洞宗では昔から伝統的な唐木仏壇を使用してきましたが、最近では洋室のインテリアにも合わせやすいモダン仏壇を使っている方も多いです。
お部屋の大きさや雰囲気に合わせて仏壇を選択しても問題はありません。
スペースがあるなら床置き型、家具の上に設置するなら上置型の仏壇を選ぶといいでしょう。
ただし、曹洞宗では金仏壇はあまり使用しません。
ユニークなデザインのモダン仏壇を使うことが気になる場合などには、念のため菩提寺(ぼだいじ)に相談すると良いかと思います。
曹洞宗におけるお仏壇を祀る意義は
お仏壇を祀る意味はご先祖をお祀りするだけの場所だけではありません。
お釈迦様に合掌礼拝することにより、生命が受け継がれ、今の私があるということに報恩感謝することにもなるのです。
私達はひとりで生きているのではなく、多くの生命によって生かされているのだと日々深く感じながら、曹洞宗の基本である、端座(たんざ)、合掌(がっしょう)、礼拝(らいはい)を行うようにしましょう。
曹洞宗のご本尊様は「釈迦如来」脇侍は「常済大師」と「承陽大師」
曹洞宗でのご本尊や脇侍
曹洞宗では仏教の開祖である「釈迦如来」がご本尊となります。
ただ、仏壇に祀るご本尊様を釈迦如来像としなければならないという訳ではありません。
ご本尊は「仏心の象徴」となるものですので、すでに縁のある仏様を祀っているのであればそれでもよいというのが禅宗の考えです。
ご本尊を左右から補佐する脇侍(わきじ)は、向かって左側に「常済大師(じょうさいだいし)」、右側に「承陽大師(しょうようだいし)」を祀ります。
また、安置するご本尊や脇侍の形は、仏像でも掛け軸でも問題ありません。
曹洞宗でのお位牌
曹洞宗では、仏壇に安置するお位牌のデザインにも具体的なルールは定めておりません。
お位牌の種類は、漆塗りの上に金箔などをあしらった塗位牌や、黒檀(こくたん)などで作られた唐木位牌、最近ではモダン位牌などがありますが、豊富にあるお位牌の種類からお好きなものを選択していただいても構いません。
新たに仏壇に置くお位牌の大きさは、ご先祖様に対して失礼のないように、同じ大きさにするか、ご先祖様のお位牌よりも少し小さ目のサイズにするのが一般的です。
曹洞宗での仏具の飾り方は仏壇の種類によっても少し変わります
ここでは、曹洞宗の仏具の並べ方についてみてみましょう。
モダン仏壇の場合の仏具の飾り方
モダン仏壇はスリムなものが多いので、モダン仏壇での飾り方を例にして、曹洞宗での略式(日常お参り的)な祀り方の基本を紹介します。
まず仏壇の最上段中央には、ご本尊「釈迦如来」様を安置します。
お釈迦様の左右には、脇侍である常済大師と承陽大師をお祀りします。
その下の段にはお位牌を安置します。
古いお位牌を上座である右側におき、新しいお位牌は左側、次は下の段の右側から、というように置いていきます。
その時、ご本尊を隠してしまわないないように注意してください。
次の段の中央には1対の高杯を置き、その左側に花立、右には見台(けんだい)にのせた過去帳を置きます。
最下段の中心には前香炉を置き、左には線香差しとマッチ消し、右側にはローソク立てとリンを配置します。
唐木仏壇の場合の仏具の飾り方
唐木仏壇などの伝統的な仏壇では供養スペースが広く取れ、より正式な祀り方が可能です。
仏壇内部の天井に、留め具を付けて灯籠・瓔珞(ようらく)などの荘厳具(しょうごんぐ)を使用することができます。
法事など正式な場では、三具足ではなく五具足を用いて供養しますが、唐木などの大きめの仏壇でしたら、普段から五具足を使用できます。
また、仏壇の前に経机を設置し、上に仏具を並べて使用することもできます。
その時には、中央に前香炉を置き、その左右に1対のローソク立て、右側にリンや過去帳を配置します。
その場合、仏壇の最下段には中央に置いた1対の高坏をはさんで1対の花立てを置きます。
曹洞宗では選ぶ仏壇、ご本尊様、お位牌、仏具について特に明確な決まりはありません。
仏具の並べ方については、仏壇のタイプや使用するシーンに合わせて対応してください。
曹洞宗では仏壇などを選ぶときの細かいルールを設けるよりも、座禅などの日々の勤行に励んだり、お仏壇に手を合わせることの方を大切とします。
毎日のお参りは仏様やご先祖様との大切な対話の時間ですから、お好きな仏壇や仏具を使用して心の平安を持てる空間を実現してください。