仏具の選び方 【更新日】
真言宗のお仏壇やお位牌、仏具の種類に厳密な決まりはありません
真言宗の方はどのような仏具を用いてお仏壇でお参りしているのでしょうか。
日々ご本尊をお祀りし、ご先祖様や故人を供養するためには、お仏壇を適切な場所に設置して、お参りに必要な仏具も正しい場所に配置しなければなりません。
そこで、本記事では真言宗のお仏壇にご本尊様やお位牌を祀る際に注意するべき点、お参りに使用する仏具の選び方や並べ方について解説していきます。
目次
真言宗での仏具の基本は三具足や五具足
供養に使用する仏具
真言宗で用いられる仏具は、自宅の場合は基本的に三具足(みつぐそく)を用います。
三具足というのは、花立・ローソク立て・香炉の3つで、それぞれ花供養、灯り供養、香り供養に使われます。
日々のお参りでは、他に仏飯器(ぶっぱんき)と茶湯器(ちゃとうき)を使って、浄水供養と飮食(おんじき)供養も行います。
正式に祀りたい時には、三具足の花立とローソク立てを2本ずつにし「五具足(ごぐそく)」という形で「花・灯・香」の供養をします。
その他にも、線香差しやマッチ消しなどの供養をサポートする仏具も使用します。
仏具を選ぶ際に注意したいのは、同じ真言宗でも地域やお寺によってそろえる仏具が異なることがあるという点です。
仏具を購入する前には菩提寺や親戚に確認することをおすすめします。
寺院で使用される密教法具
自宅で使用される仏具とは別に、真言宗では寺院の儀式で使用される特別な仏具があります。
密教法具の中には、金剛杵(こんごうしょ)と金剛鈴(こんごうれい)というものが存在し、その使い方については真言密教の秘儀とされています。
真言宗の宗徒の方の中には密教法具を儀式の道具ではなく、お守りや厄除けとして自宅に飾る方もいらっしゃいます。
真言宗のお仏壇の選び方には細かい決まりはありません
真言宗のお仏壇を選択する際には細かいルールは存在しないので、どのタイプのお仏壇でも問題ありません。
ただし、浄土真宗などで使われる金仏壇は真言宗では使用ないので、一般的には唐木仏壇かモダン仏壇が使用されます。
また、お仏壇のサイズについては、棚などの上に設置できる上置き型と床に直接置く床置き型があるので、設置するお部屋の雰囲気やスペースに合わせて選びましょう。
真言宗のご本尊様の選択は必ずしも大日如来でなくても問題ありません
真言宗でのご本尊
真言宗でのご本尊は「大日如来(だいにちにょらい)」様を祀るのが一般的です。
宗派の中で大日如来をご本尊様として祀るのは真言宗だけとなっています。
一部には、大日如来ではなく、阿弥陀如来を祀っているお寺もありますし、真言宗智山派では阿弥陀如来や釈迦如来を祀るお寺もありますが、ご家庭においては、大日如来を祀る事が一般的なので、特にご自身が信仰する仏様が他にいない場合は大日如来を祀りましょう。
弘法大師と不動明王
真言宗では、ご本尊様の脇侍(わきじ)として、弘法大師と不動明王を安置します。
向かって左が不動明王、右側が弘法大師という配置になります。
また、真言宗のご本尊様や脇侍は仏像と掛け軸のどちらでも問題ありませんが、ご本尊様は仏像、脇侍は掛け軸で祀られる方が多いです。
お仏壇の中で最も重要なご本尊様はしっかりとした仏像をと考える人が多いというのが大きな理由となっていますが、ご自身の予算に応じて選択をすることがおすすめです。
真言宗のお位牌は豊富な種類の中から自由に選択できます
「お位牌に関しても真言宗では、色や形の指定はありません。
現在はお位牌の色やデザインも豊富にあるので、お仏壇のタイプや故人のイメージなどから選んでも問題ありません。
お位牌を置く場所が狭くなってきた場合には、「先祖位牌」や「回出位牌(くりだしいはい)」、「夫婦位牌(めおといはい)」という形でまとめることも可能です。
ご本尊様とお位牌のサイズ
お位牌の大きさは3.5寸~4.5寸の間であり、台座を合わせた総高は20cm前後になります。
注意する点は、お仏壇に設置したときにお位牌の高さがご本尊の高さを超えないものを選択するということです。
ご本尊様が仏像の場合は、お位牌が仏像光背を含めた全高より小さくするようにし、掛け軸の場合は掛軸表具の全高よりも小さくなるようにしましょう。
目安としては掛け軸の長さに対して、7~8割ほどのサイズのお位牌にするとバランスが良いとされています。
真言宗での仏具を並べる注意点は御本尊の「左に不動明王」「右に弘法大師」
モダン仏壇を使用した真言宗の基本の仏具の並べ方
お仏壇に仏具を並べる場合にまずは、最上段の中央にご本尊様を安置します。
ご本尊様を中央とし、左に不動明王、右に弘法大師をお祀りします。
次にお位牌を設置します。
お位牌はご本尊様が隠れないように、一段低い位置に安置し、同じ段の中央には左側に湯茶器、右に仏飯器という配置で置きます。
その次の段には、中央に高杯(たかつき)を置き、向かって左に花立・右側に見台(けんだい)にのせた過去帳(かこちょう)を置きます。
そして最下段には、中央に前香炉を置き、その左側には線香差しとマッチ消し、前香炉の右側にはローソク立てやリンを配置するのがモダン仏壇を並べる際の基本の手順となります。
唐木仏壇を使用した真言宗の基本の仏具の並べ方
唐木仏壇の場合でも最上段の中央にはご本尊様を、左右に不動明王と弘法大使を配置し、お位牌はご本尊様より一番低い位置に安置するところまではモダン仏壇の場合と同じです。
お位牌の下の段には、仏飯器と湯茶器を設置しますが、仏飯器を2つ使用する場合は中心に置いた湯茶器をはさむ配置になります。
そして最下段には、中央に1対の高杯を置き、その左右の脇に1対の花立を設置します。
唐木仏壇はモダン仏壇より供養スペースが広いので、天井に留め具を付けて灯籠(とうろう)や瓔珞(ようらく)などの荘厳具(しょうごんぐ)を設置することが可能です。
お仏壇の前に置いた経机(きょうづくえ)を利用して、前香炉・ローソク立て・線香差し・リン・過去帳などはその上に設置すれば、お仏壇内を更に広く使えます。
真言宗ではお仏壇や仏具の選び方などについては特に厳格な決まりなどはありません。
ただ、ご本尊様やお位牌の選び方や配置は重要になります。
仏具の並べ方についてはここではモダン仏壇の場合と唐木仏壇の場合の基本の手順をお伝えしましたが、使用する仏具や数、並べ方というのはお寺様や地方に寄っても変わるものです。
ご自分のケースの正確な作法を理解したい場合が、やはり菩提寺のご僧侶などにお聞きになることをお勧めしておきます。
お仏壇まわりの大切な作法というものは、毎日お仏壇に手を合わせていれば自然と身につくものです。