仏具の選び方 【更新日】
仏具の線香立ては六具足の一つで重要な仏具。その役割・使い方とお手入れ方法を紹介
線香立てとは、お線香を立てて入れておくための器です。
「線香挿し」とも呼ばれ、一般的には仏前に供えるお線香を立てるために使います。
仏壇のお線香は、日々の祖先や故人の供養に欠かせない大切なものです。
お線香を焚くことでお部屋全体を香りで清め、供養する者の心身の穢れも浄められます。
しかし、果たして線香立てとは、本当に必須な仏具なのでしょうか?
香炉やロウソク立てなどの他の仏具と比べると、いささか役割が地味な気もします。
ここでは、線香立ての役割や使い方、様々な香炉灰と灰のお手入れ方法、そしておすすめの美しい線香立てをご紹介します。
目次
仏具の「線香立て」は「六具足」の一つで香炉をサポートする重要な役割
仏具の線香立ては、通常仏壇の上の香炉の近くに置かれます。
香炉は、ロウソク立てや花立と並ぶ「三具足(みつぐそく)」のひとつで「香供養」に使われる大切な仏具です。
簡単に言うと、線香立ての役目はその三具足のひとつである香炉をサポートする事です。
となると必須の仏具ではないのでは?と考えてしまうかもしれません。
しかし6点以上の仏具セットには、茶器、仏器、花立、香炉、ロウソク立てと共に必ず線香立ても含まれています。
つまり日々の供養を快適に、そしてスムーズに行うためには、線香立ても大切な仏具のひとつだと言えるでしょう。
お線香は日々のお祈りの時に香炉にさして使います。
その時に、毎回引き出しからお線香の箱を取り出して、というのは少々不便です。
ある程度の本数のお線香を箱から線香立てに移しておけば、日々の供養がとてもスムーズに行なえます。
お客様が来た時に、仏前にお線香をあげてくださる時があります。
そういう時に、常に線香立てにお線香がさしてあれば見た目もいいですし、たとえ急な来客だったとしても慌てて準備をせずに済みます。
更に、引き出しの中のお線香箱から線香立てに移す習慣があると、残りのお線香の管理も楽にできるでしょう。
仏具の線香立ては香供養の際の線香を飾り立て、線香サーバーの役割を担います
仏具の線香立ては、香供養に使う大切なお線香をさしておくものです。
香供養をする時にはお線香と香炉、そしてロウソク立てが必要です。
一般的な香供養の流れは、
1.線香立てからお線香を取り出す
2.火立てのロウソクからお線香に火をうつす
3.火を消してから香炉の中の灰にお線香を立てる
この時に注意しなければならないのはお線香の火の消し方で、火は絶対に口で吹き消してはいけません。
仏教の教えでは人間の口は悪業を積みやすく穢れやすいものだと言います。
よってその口から出るものは不浄であり、仏様に供えるお線香の火を消すのに不浄な息を使うのは相応しくないという考えです。
ですから、お線香の火は必ず口ではなく手で扇いで消すようにしましょう。
香供養の時には、香炉とロウソク立ての近くにマッチとマッチ消しも置いてあると便利です。
火立のロウソクに火がついていない時、マッチで火を付けマッチ消しへ捨てる一連の流れがスムーズに行えますし、うっかりマッチの火を口で吹き消してしまうことも避けられます。
お線香の供え方は、宗派や地域によってお線香の本数や手向け方などが変わります。
例えば浄土真宗などの宗派では、長香炉に火をつけたお線香を寝かせて置くか、土香炉の大きさに合せて折ったお線香をやはり寝かせた状態で焚きます。
あらかじめ自分の宗派の香供養の作法を確認しておく事をお勧めします。
仏具の線香を立てる時の灰は「香炉灰」と呼び 2種類のタイプがあります
香供養に使う仏具は、香炉と線香立てとロウソク立てです。
香炉の中には「香炉灰(こうろはい)」を入れて、そこにお線香を立てたり乗せたりします。
灰に立てることでお線香が安定し、倒れてしまったり燃え残りが散ることを防ぐことができます。
香炉灰には素材によって大きく2種類のタイプに分かれるので、それぞれの特性を知っておくといいでしょう。
鉱物や金属の粉末を使った灰
鉱物なので硬めで重さもありお線香が安定しますが、お線香の下の方は燃えずに灰の中に残り、燃え残りが多くでます。
天然素材でできた灰
軽くて軟らかいのであまりお線香の安定感はありませんが、お線香の下側まで燃え続けるので燃え残りは少なくなります。
最もよく目にするのは、植物性プランクトンが化石化した珪藻土(けいそうど)からできた「珪藻土灰」です。
特に白くて無臭な「ふじ灰」は固まりにくく、お線香が最後まで燃えるので人気があります。
藁(わら)を燃やした灰で作った「藁灰(わらばい)」や菱(ひし)の実の殻を焼いた「菱灰(ひしばい)」も通気性に優れていてよく使われます。
香炉灰のお手入れは若干面倒なので、最近では洗って繰り返し使えるタイプの「香炉石」が注目されています。
洗って繰り返し使える香炉石
香炉石の素材は様々で、クリスタル、ソーダ石灰ガラス、石、石英を成分とする「珪砂(けいさ)」、水晶などの天然石でできた物などがあります。
ビーズや天然石で作られた香炉石は見た目もカラフルで綺麗なので、最近ではモダン仏壇のデザインに合わせて選ぶ方も多いです。
香炉石だとお手入れが楽な上に、風で灰が舞い散ったり、誤ってひっくり返してしまった時の掃除が大変という心配もありません。
仏具のお線香が立てづらくなったらお手入れをしましょう
「香炉の中の線香の燃え残りが目立ってきたり、灰が固まってお香をさしにくくなったら香炉灰のお手入れをしましょう。
香炉にお線香の燃え残りがあると灰にお線香が立てづらくなる他、灰が飛び散りやすくなったりもするので、定期的なお手入れが必要です。
灰のお手入れの手順
1.箸などでお線香の燃え残りや燃えカスを取り除く
2.灰をいったん香炉から出し、新聞紙などの上でネットやふるいを使って灰をこす
3.線香の燃え残り等を取り除いたら、灰を香炉に戻す
4.灰をならして表面をきれいに整える
この時に「網付き灰ならし」等があると、手を汚さず簡単にお線香の燃え残りを取り除け、香炉内の灰もならせるので大変便利です。
お線香の燃え残りを除去しふるいにかけると、固くなった香炉灰がサラサラに戻ります。
もし灰が湿気を吸って硬くなりすぎてしまった場合は可燃ごみとして処分し、新しい灰と交換すると良いでしょう。
水洗いできる香炉石のお手入れ
1.ボールに香炉石を入れて燃えカスや灰を洗い流す
2.新聞紙などの上に広げ、乾かして再び使う
香炉石のお手入れの時は問題ありませんが、普通の灰は舞って吸い込んでしまったりするので、香炉灰を掃除する際はマスク等を使うと良いでしょう。
彩々な仏具の線香立てをご紹介
「仏具の線香立ては陶器や銅器、木製、プラスチックで作られているものが多く、色や形も様々なものがありますが、どれも宗派に関係なくご使用いただけます。
陶器 まるか ミントグリーン 線香差し(線香立)
陶器ならではのしっとりとした風合いと丸みを帯びた形が特徴的な「まるか」
優しいミントグリーンがお仏壇を明るく爽やかに演出してくれます。
陶器製なのでお手入れ簡単、水洗いしても大丈夫です。
色は他にカナリアイエローとシンパープルがあります。
銅器 青葉型 国光メッキ 山水彫り 線香差し(線香立)3.0寸
国光メッキのシャープな色合いと山水彫りが魅力的な線香立てです。
光沢感をもった見事なデザインがお仏壇に高級感を与えてくれます。
サイズは他に3.5寸と4.0寸があります。
数ある仏具の中でも線香立ては、宗派による選び方や使い方の違いは特にありません。
ですから、ご自分のお好みやお仏壇に合わせて選んでいただくのがいいと思います。
ただ、選んだ仏具によってお仏壇の印象は大きく変わってきますので、線香立ても含めこだわりの仏具を揃えて、素敵なお仏壇を演出をしてください。