仏壇の選び方 【更新日】
床の間にお仏壇を置く際には予め設置場所の寸法をしっかりと測りましょう
現代の住宅事情では仏間や床の間のあるご家庭も少なくなってきていますが、やはり唐木仏壇や金仏壇などの伝統的なお仏壇は、和室に置くとしっくりきますよね。
しかし床の間にお仏壇を安置するのは、あまりよくないという話を耳にしたりすることもあるかもしれません。実際はどうなのでしょうか?
そもそも床の間がないお家では仏壇はいったいどこに置けばよいのでしょうか?
仏教的なマナーの点でも、デリケートな造りのお仏壇のメンテナンスの面からも気になることは色々ありますね。
今回は、床の間や仏間とはどういった役割を持つ場所なのか、和室や洋室での正しいお仏壇の設置方法についてご紹介いたします。
目次
床の間にお仏壇を置くのはタブーではありません
床の間とは客間の上座として床を一段高くして造られた場所で、掛け軸を掛けたり生花を飾って四季を演出したりするスペースです。来客は床の間を背にした上座に座ります。
床の間の横幅は、一間か半間のものがあります。一間は柱と柱の間の長さを182cmとし、半間はその半分の91cmです。
4畳半や6畳の和室には半間サイズの床の間があるのが一般的です。
床の間の高さは一間程度で、奥行きは造りによって様々です。
お仏壇を床の間に設置することをタブーと考える方もいるようですが、基本どの宗派でも問題はありません。
実は床の間というのは、仏様をお祀りするのに理想的な場所だと言われます。
まず、家の中心に位置する床の間はとても縁起のいい場所とされます。
次に床の間のある客間は、風通しと採光を考えて設計されています。
そして床の間はお部屋の北側や西側に造られていることが多く、お仏壇を劣化させる直射日光を避けての設置が容易です。
更に床の間は高さがあるので、床置き型の大きなお仏壇を安置することもできます。
反対にお仏壇を床の間に面して安置するのはいけません。
床の間はそのお部屋の最上の上座なので、それに向き合うお仏壇は下座となってしまうからです。
床の間より仏間にお仏壇を置く方が一般的ですが寸法には気をつけましょう
仏間(ぶつま)とは、お仏壇を置くために作られたお仏壇専用のスペースです。
例外はありますが、仏間の脇には床の間もあるのが一般的です。
お部屋に仏間が付いている場合はそこにお仏壇を設置して、床の間には掛け軸や花瓶を置くというのがいいでしょう。
仏間は造りや大きさによって「半床仏間」「地袋(じぶくろ)付仏間」「三尺仏間(半間)」「六尺仏間(一間)」などの種類があります。
同じ半間でも京間、江戸間、団地サイズなど少しずつ寸法が異なります。
床の間や仏間の造りは地域によって変わり、地袋の高さも異なります。
仏間にお仏壇を設置する場合は、仏間の高さや幅、奥行きだけではなく地袋までの高さもしっかりと測っておくことが大切です。
三尺仏間(半間)~六尺仏間(一間)
三尺仏間または六尺仏間にお仏壇を置く場合は、以下の部分を採寸しましょう。
1. 内側の天上までの高さ
2. 鴨居(かもい)までの高さ
3. 柱の内側の幅
4. 壁の内側の幅
5. 柱正面からの奥行
6. 柱内側からの奥行
7. 鴨居までの奥行
8. 框(かまち)の高さ
9. 雑布摺り(ぞうきんずり)
このスペースには、床置き型の唐木仏壇や金仏壇を設置することが可能です。
半床仏間や地袋付仏間
お仏壇を半床仏間や地袋付きの仏間に設置する場合は、以下の部分を採寸します。
1. 内側の天上までの高さ
2. 鴨居(かもい)までの高さ
3. 柱の内側の幅
4. 壁の内側の幅
5. 柱正面からの奥行
6. 柱内側からの奥行
7. 鴨居までの奥行
8. 地袋(じぶくろ)の高さ
9. 雑布摺り(ぞうきんずり)
半床仏間や地袋付仏間を利用する場合は、上置き型の唐木ミニ仏壇などを設置するといいでしょう。
床の間や仏間以外の場所にもお仏壇を設置できます
タンスや押入れに設置する
和室に仏間がなかったり床の間にお仏壇が置けない場合でも、タンスの上や押入れの中を利用してお仏壇を設置することができます。
その場合は、上置きタイプの唐木ミニ仏壇をお勧めします。色やデザインによっては、モダンミニ仏壇でも和室に馴染むでしょう。
居間に設置する
最近では仏様や故人が寂しくないようにと、家族がいつも集まる居間にお仏壇を安置する方もいます。
居間にお仏壇を置くとお給仕もしやすいので、日々お参りする場所として適しています。
リフォームして仏間を造る
仏間のないお宅でも、和室の押し入れやクローゼットを改築して仏間を造ることが可能です。
その場合はお仏壇を購入した後に、お仏壇のサイズに合わせた仏間を造ることをお勧めします。
床の間や仏間でなくお仏壇をリビングに設置する人が増えています
「現代では仏間や床の間のある住宅も減り、マンションやワンルームアパートに住んでいる方が増えています。
和室のない居住空間ではリビングにお仏壇を置くのが一般的になっています。
リビング
家族が憩い、お客様との時を過ごすリビングには、設置するお仏壇のサイズやデザインが重要です。
床置き型のお仏壇でもモダン仏壇(家具調仏壇)ならスリムで場所を取らず、お仏壇とは気づかれないようなオシャレな造りのものを選ぶこともできます。
リビングに伝統的な唐木仏壇を設置したい場合は、明るめの色やスリムな形のお仏壇を選ぶといいでしょう。
リビングの家具の上
リビングで家具の上に設置するなら、上置きタイプのモダンミニ仏壇がお勧めです。
モダンミニ仏壇にも様々な大きさやデザインのものがあるので、きっとお手持ちの家具の色や大きさにピッタリのお仏壇が見つかるでしょう。
上置き型のお仏壇は専用台を使って設置すると、お祀りにちょうどいい高さになるので便利です。
床の間やリビングにお仏壇を置く時には設置場所に注意し寸法をしっかり測りましょう
お仏壇を設置する時には、いくつか注意しなければならないことがあります。
湿気と直射日光を避ける
お仏壇は木で造られているため、直射日光が当たると反りやねじれが生じたり、色があせてしまうことがあります。
更にお仏壇は水に弱く、湿気が多いと傷みやすくなってしまいます。
お仏壇を長持ちさせるためには、床の間のような風通しがよく直射日光が当たらない設置場所を選ぶことが大切です。
寸法をしっかり測る
床の間のある和室に設置する場合でもリビングや家具の上に置く場合でも、お仏壇や設置場所の寸法は予めしっかりと測っておきましょう。
いざ設置する時にお仏壇がおさまらないなんて事があったら大変です。
上置き仏壇を置く家具の奥行きと高さ
家具の上に置く時は、平らでお仏壇のサイズに対しての奥行きが十分にあるかを確認します。
上置き仏壇は必ず、正座をした時にご本尊が自分の目線よりも上になるように設置しましょう。ご本尊を見下ろすのは、非常に失礼なことになります。
これからお仏壇を購入される場合は、床の間や仏間に置くのか、それともリビングにするのか、予め設置場所を決めてからお仏壇のタイプや大きさを選ぶのがいいと思います。
ご自宅に床の間や仏間がある場合には、やはり伝統的なお仏壇を設置するのが最良でしょう。
和室のないマンションやアパートにお住まいの場合には、豊富にあるモダン仏壇の中からリビングの雰囲気やスペースに合わせたお仏壇をお選びいただけます。
いずれにしろお仏壇の設置スペースは、日々のお給仕がしやすい場所、そして手を合わせ易い高さを考慮して決めるのがベストです。