仏壇の選び方 【更新日】
真宗大谷派のお仏壇選びにお手続き、仏具の飾り方や日々のお参りの仕方を解説
浄土真宗ではお仏壇の基本は金仏壇であるとされてきました。そのため真宗大谷派の門徒の方々も金仏壇を中心に選ばれてきました。
しかし最近ではさまざまな需要に応じて、唐木仏壇や家具調仏壇なども選ばれるようになりました。
お仏壇や仏具は、仏教徒がお参りをする際にとても重要な意味をもちます。そのため、ご自身の宗派に合わせて適切に選ぶ必要があります。
今回は、浄土真宗大谷派の方を対象に、お仏壇や仏具の選び方、設置する際の注意点に加え、日々のお参りの仕方までを網羅的に解説します。
目次
真宗大谷派は「南無阿弥陀仏」と仏壇の前で唱える日本第二位の仏教流派です
真宗大谷派は、日本第二位の仏教流派であり、浄土真宗のなかの流派の一つです。
文化庁公表の平成30年版『宗教年鑑』によると、仏教系の信者数およそ4800万人のうちおよそ778万人が真宗大谷派の信者とされ、浄土真宗本願寺派の790万人についで仏教系の信者数で第二位となっています。
ご本山は東本願寺です。
こちらは通称であり、正式には「真宗本廟(しんしゅうほんびょう)」です。
基本的には東本願寺の通称でお呼びするのが一般的です。
京都府京都市下京区烏丸通七条に位置し、京都府民からは「お東さん」とも呼ばれています。
真宗大谷派の宗祖は「親鸞聖人(しんらんせいじん)」です。
経典として「浄土三部経(じょうどさんぶきょう)」があります。
それぞれ「佛説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)、佛説観無量寿経(ぶっせつかんむりょうじゅきょう)、佛説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)」を指しています。
代表的な宗旨は他力念仏であり、「南無阿弥陀仏」と唱えることで、等しく浄土へ導かれるとするものです。
真宗大谷派は浄土真宗本願寺派と共通した部分はあるものの、お仏壇や用いる仏具やその飾り方には相違点が多くありますので、間違えないよう気をつけましょう。
真宗大谷派の金仏壇の特徴は各所に施された金箔と「黒漆喰」「二重瓦屋根」
金仏壇
真宗大谷派のお仏壇は金仏壇が基本とされます。
金仏壇には同じ浄土真宗系の流派である浄土真宗本願寺派のお仏壇もあるため、注意が必要です。
真宗大谷派の金仏壇は、内部の「厨子(ずし)」が金箔で覆われており、東本願寺の本堂を模しています。
屋根は「御影堂(みかげどう)」を模して「二重瓦屋根」になっています。
内部の柱は黒漆喰で塗装されており、これは「阿弥陀堂(あみだどう)」を模しています。
また「欄干(らんかん)」は朱く、「擬宝珠(ぎぼし)」は金箔で覆われています。
金仏壇は歴史の長いお仏壇ですが、最近は唐木仏壇や家具調仏壇などを選択することも増えてきました。
これらのお仏壇にはとくに制限や決まりなどはありません。
真宗大谷派のご三尊
真宗大谷派でのご三尊は、ご本尊に阿弥陀如来様の絵像を、左脇掛は「九字名号(くじみょうごう)」、右脇掛は「十字名号(じゅうじみょうごう)」とします。
ご本尊として阿弥陀如来立像をお祀りすることもできます。
またはご本尊に「六字名号(ろくじみょうごう)」をお祀りすることもあります。
ご三尊の形式は地域やお寺様の意向によって違いが多く見られるので、ご購入の前にお寺様へご確認しておくとよいでしょう。
真宗大谷派のお仏壇の選び方で大切なことは「場所」「間取り」「予算」
真宗大谷派のお仏壇を選ぶ前には、「ご予算を決める・設置する場所を定める・間取りを測る」と準備しておくといいでしょう。
お仏壇のお値段で、ましてやその高低で真宗大谷派の宗旨に沿わないことはありません。
ご予算は生活に無理のない範囲で、ご家族とご相談して定めます。
歴史を重んじるのであれば金仏壇を、マンションにお住まいであったり洋室に安置したい場合は唐木仏壇や家具調仏壇を選びましょう。
お仏壇の設置場所は、お家の中心や通路に近い部屋など、家族全員がお参りできる部屋がおすすめです。
お仏壇を安置する場所や方角には特段の定めなどはありませんが、お仏壇が長持ちするよう、水気のある場所や直射日光を避けるのが一般的です。
そしてお仏壇を設置できる間取りを測ります。
高さや横幅、奥行きを計測しましょう。
また、その部屋で何人程度お参りをするのかも想定しておきましょう。
あとは仏壇店へ連絡し、「ご予算・設置できる間取り」を伝えます。
この際、忘れずにご自身の宗派も伝えましょう。
仏壇店では専門家として、間取りやご予算の中で最適な宗派にも合わせたお仏壇をご案内できます。
加えて、必要な手続きや真宗大谷派で必要な仏具なども案内できますので、安心してお仏壇を選ぶことができます。
また、お仏壇を購入される際は、ご僧侶様にご相談されてください。
地域に根ざしたお寺様は、その地域の専門家ですから、私たちに必要なアドバイスをきっといただけるでしょう。
真宗大谷派のお仏壇の仏具は「真宗大谷派用」を選びます
真宗大谷派の仏具は「金色の仏具を選ぶもの」とされています。
浄土真宗では、「三具足(みつぐそく)」や「五具足(ごぐそく)」といった一般的な仏具に加えて、「四具足(しぐそく)」と呼ばれる仏具をそろえる必要がありますが、「浄土真宗本願寺派用」と「真宗大谷派用」があるため、間違えないようにしましょう。
そのほかにも「供笥(くげ)、高杯(たかつき)、輪灯(りんとう)、おリン、打敷(うちしき)、法名軸(ほうみょうじく)、過去帳(かこちょう)」やその他諸々の仏具が必要です。
真宗大谷派の仏具には様々な種類がありますが、お仏壇との兼ね合いを考えるのなら、お仏壇を購入する店舗で仏具セットをお買い求めになるとよいでしょう。
真宗大谷派のお仏壇を購入した後のお手続き「御移徙」が必要
お仏壇を購入された後は、お寺様へ「御移徙(ごいし・おわたまし)」をお願いします。
御移徒とは「崇敬する仏様のご転居」を意味する敬語です。
>真宗大谷派では、お仏壇へご本尊を迎え入れる際に、ご僧侶様に読経などをしていただく慶事とされます。
他宗派で言うところもの「ご性根入れ」や「開眼供養(かいがんくよう)」のような、ご本尊へ魂を入れるという概念は、浄土真宗にはありません。
あくまでご本尊を移し替える際の法事となります。
真宗大谷派のお仏壇の仏具は「前卓」と「上卓」へ飾ります
真宗大谷派の場合、三具足や五具足を「前卓(ぜんたく)」へ飾り付け、四具足は「上卓(うわじょく)」に飾り付けます。
三具足は「土香炉(どこうろ)、花瓶(かひん)、ローソク立て(燭台・火立)」であり、五具足は花瓶とローソク立てを加えてそれぞれ対にしたものです。
四具足は「火舎香炉(かしゃこうろ)、華鋲(けびょう・華瓶)、仏器(ぶっき)、ローソク立て」です。
真宗大谷派の仏具の中でも、ローソク立てが浄土真宗本願寺派と大きく異なります。
このローソク立ては「鶴亀燭台(つるかめしょくだい)」と呼ばれます。
亀の甲羅に鶴が乗った形をしており、鶴のくちばしを中央のご本尊へ向けて設置します。
ローソク立てを一つもしくは一対で飾る場合、鶴のくちばしが開いたほうは右側へ、左側には閉じたほうを飾り付けます。
また、浄土真宗ではお位牌の代わりに、過去帳や法名軸を用います。
ただしお位牌を祀ることが可能か否かは、地域やお寺様によって変わります。
真宗大谷派のお仏壇における日々のお参りは「お仏供」と「燃香」から
ご家庭にお仏壇が届き安置されましたら、日々の生活の中でお参りを続けましょう。
真宗大谷派のご飯の供え方
早朝の誰よりもはやく、まずご三尊へ「お仏供(おぶく)」として炊きたてのご飯を供えます。
八角形の供笥に、ご飯を円筒状に盛り上げてお供えします。この時には「盛糟(もっそう)」という仏具をもちいます。
お供えする時間の目安は、炊きたてご飯から湯気が立たなくなる頃までとなります。
浄土真宗では仏様は湯気を召し上がるものとされるためです。
また「脇侍(きょうじ)」として名号ではなく親鸞聖人や「蓮如上人(れんにょじょうにん)」の絵像を飾る場合、それぞれの御前にもご飯をお供えします。
真宗大谷派のお線香の供え方
真宗大谷派では、数回折ったお線香に火を灯し、火が付いた部分を左にして土香炉に寝かせてお供えします。
これを「燃香(ねんこう)」といいます。
このときお線香は短時間で消えますが、これは正式な作法となります。
燃香は線香の香りを部屋に満たすものであり、お線香の灯りによる供養ではないためです。
たくさんのお線香に火を点ける必要はありません。
真宗大谷派のお仏壇や仏具には様々な特徴があります。
浄土真宗では金仏壇が基本とされますが、最近ではご自身やご家族の環境や好みに合わせて選ぶことが増えています。
お仏壇は生涯をかけて、また世代をまたいで大事に扱われるものです。
慎重に、丁寧にお仏壇を選ぶことが大切です。
されど、それは日々お参りをしてこそのお仏壇といえます。
ご家族が苦にならないよう生活の中心にお仏壇を設けることを意識してみてはいかがでしょうか。
そういったお手伝いのためにも、私たち仏壇の専門家へお声掛け頂けますと幸いです。