仏壇の選び方 【更新日】
仏壇の作法は出来る範囲から覚えましょう
仏壇と共に、仏壇の作法というのも継承していくものです。
日々のお参りの仕方、お供えの選び方や置き方も、全て祖父母や両親が昔からやってきた事を、子供の頃から見てまねてきたのではないでしょうか。
ご自分で仏壇を管理するようになって、親がしていた通りに仏壇のお参りを続けていても、時々自分が正しい作法でやっているのか不安に思うことはありませんか?
この機会にご自分の宗派だけではなく、他の宗派の作法も知っておきましょう。
ここでは仏壇でのお参りの仕方や線香のあげ方など、仏壇にまつわる作法について解説いたします。
目次
まずは仏壇のお参りの作法の流れを覚えましょう
仏壇のお参りの作法は宗派や地域によって多少変わりますが、基本的な手順は同じです。
日々の仏壇へのお参りは朝は朝食前に、そして夜は就寝する前の1日2回が基本です。
できたら家族全員そろってお参りするのが正式な作法です。
朝のお参りも夜のお参りも、その流れや作法はほとんど同じです。
1.仏壇の扉を開けて仏様にあいさつをします
2.お供え物があったら供えます
3.ローソクと線香に火を灯します
4.リンを鳴らして読経の開始を知らせます
5.合唱してお経を唱えます
6.再びリンを鳴らして読経の終わりを知らせます
7.合掌してから一礼します
8.ローソクの火を消して下がります
9.お供えの水やご飯を下げます
10.仏壇の扉を閉めます
朝のお参りの後には仏壇の内側の扉だけをしめ、夜のお参りが終わったら、仏壇の内側と外側の扉を閉めるのが基本の作法です。
お供えの水やご飯は朝のお参りが終わったら下げて、朝食でいただきます。
仏壇に五供(ごくう)を供える作法は宗派によって様々です
供養の基本と言われる五供(ごくう)「花・香り・灯り・浄水・飮食」の作法は宗派によって異ります。
香供養の作法
線香には直接火をつけずにローソクから火をうつしますが、線香で燃え続ける火は口で吹き消してはいけません。
香供養で使用する香炉や線香の数、仏壇へ供える作法は、宗派によってかなり異なるので後述します。
花供養の作法
花供養の作法では、できるだけ生花をお供えします。
仏花には派手な色の花、トゲや毒のある花、匂いの強い花、花粉や葉が落ちやすい花は避け、日持ちする花を選びましょう。
灯燭供養の作法
ローソクは仏壇のお参りの時に火を灯し、終わったら火を消します。この時のマッチやローソクの火も吹き消してはいけません。
浄水供養の作法
仏壇には新鮮な水か一番茶を供えます。
日々のお供えでは朝仏壇に向かう際に、まず茶湯器の中身を差し替えます。
宗派によって仏壇にいくつ湯茶器を置くかの作法が変わります。
浄土真宗では「浄水」は供えません。
飮食供養の作法
炊きたてご飯の一膳目を自分達が食べる前に仏飯(ぶっぱん)として仏壇にお供えのが作法です。
旬のものや、いただきものの飲食も、まず仏壇にお供えしますが、肉や魚、匂いのきつい食べ物は避けましょう。お供え物は仏壇に供えて手を合わせた後に下げて、私達がいただきます。
なお、浄土真宗系ではお供えするご飯の数や盛り方、置く場所が変わります。
特に仏壇の香供養の作法は宗派によって線香の数や手向け方が違います
五供の中でも香供養は、仏壇で使う香炉や線香の本数、供える作法が宗派やお寺、地域で違うことを覚えておきましょう。
使用する香炉
浄土真宗以外の宗派では「前香炉(まえこうろ)」に線香を立てます。
浄土真宗では青磁製の「土香炉(どこうろ)」か「長香炉(ながこうろ)」を使用します。
真宗本願寺派の土香炉は「玉香炉」、真宗大谷派で使われる土香炉は「透かし香炉」と呼ばれます。
仏壇に線香を供える基本の作法
一般的な流れは、
1.仏壇に向かって軽く一礼する
2.ローソクに火がついていない場合には火をつける
3.線香立てから線香を取り出す
4.火立てのローソクから線香に火をうつす
5.線香を持っていない方の手で扇いで火を消す
6.香炉灰に線香を立てる(横にして置く)
となりますが、この時に使用する線香の本数と手向ける作法は以下のようになります。
宗派による線香の本数とお供えの作法
線香を1本供える(曹洞宗・臨済宗・日蓮宗)
基本的な作法で、線香を香炉の真ん中に1本立てて供えます。
線香を2本か、1本を折って供える(浄土宗)
1本の線香を2つに折るか、2本の線香を使い、同時に火をつけて香炉に立てます。
線香1本を2~3回折って供える(浄土真宗本願寺派・大谷派)
1本の線香を土香炉の大きさに合わせて2~3回折って置きます。
長香炉を使う場合は1本の線香を寝かせて焚きます。
火のついた方を左にして灰のうえに寝かせるのが作法です。
線香を3本供える(天台宗・真言宗)
3本の線香に同時に火をつけ、香炉の中で逆三角形になるように自分側に1本、仏壇側に2本の線香を立てます。
ただし、四十九日までは故人の枕元に立てる線香は1本のみです。
仏壇前での読経時の数珠や念仏の作法も宗派で変わります
数珠
数珠は各宗派で正式に使う「本式数珠」と宗派関係なしに使える「略式数珠」があります。
そして宗派によって色や形、珠の数、持ち方や使い方が異なります。
更に男性用と女性用があるので、自分の宗派と性別に合った数珠を選びます
通常、数珠は左手の手首にかけて持ちます。
そして合掌の時の基本の作法としては、数珠を両手の四指にかけ、両方の親指で軽く押さえます。
リンを鳴らして読経の開始と終わりを知らせる
仏壇の前に正座し、数珠を手にかけて軽く一礼します。
そしてリンを2回打って鳴らして合掌し、読経を始めます。
リンは打ち方の作法は、リン棒を使い横から軽く打ち鳴らすだけです。
読経を行わない場合、リンは鳴らしません。
読経の後にリンを2回鳴らし終わったことを知らせ、再び合掌してから一礼します。
仏壇でリンを鳴らす回数などの作法も宗派によって多少変わります。
読経
仏壇前での念仏も、宗派によって様々です。
真言宗:「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」
曹洞宗・臨済宗:「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」
日蓮宗:「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」
浄土宗・浄土真宗:「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」
もし分からない場合は、リンを鳴らして仏壇前で合掌するだけでも大丈夫です。
念仏を唱える正しい作法が知りたい場合は、菩提寺に相談するといいでしょう。
仏壇まわりの作法はとても数が多く宗派による違いも大きいので、一度に覚えられるものではありません。
こういった仏壇の作法は、実際に自分でやってみると自然と覚えるものです。
誰かのお宅の仏壇のお参りをする機会などを利用して、他の宗派のやり方も少しずつ学んでいきましょう。
まずは、ご自分の仏壇のお参りの作法を見直してみることが大切です。