仏壇の選び方 【更新日】
仏壇のろうそくは供養の場を清める魂の道しるべです。
仏壇に灯すろうそくの灯りもお線香やお花と同じく、ご先祖様や故人の供養に欠かせないとても大切なものです。
仏壇のろうそくの火を眺めていると、自然と私達の心も落ち着きますよね。
しかし、何故仏壇にろうそくを灯すのかご存知ですか?
単純に仏壇を明るくするためでしょうか?
それとも、お線香に火を点けるためなのでしょうか?
仏壇でのろうそくの役割を知っておくと、日々ろうそくに火を灯す時の気持ちも変わってくるかもしれませんね。
ここでは仏壇でろうそくに火を灯す理由やマナー、仏壇供養に使われるろうそくの種類や選び方についてご紹介いたします。
目次
仏壇のろうそくの火は仏の光明を表しています
人間にとって火というものは神秘的で大昔から様々な儀式に使われて来たものです。
では、仏教においてのろうそくの火にはどんな意味合いが込められているのでしょうか。
ろうそくの火は「仏の光明」
仏教では仏に供える火のことを「灯明(とうみょう)」と呼びますが、その光は「仏様の智慧と慈悲」を象徴しています。
仏壇に供える2本のろうそくの灯りは一方が「自灯明(じとうみょう)」、もう一方は「法灯明(ほうとうみょう)」を表しています。
「自灯明」というのは自分自身を頼りにすること、そして「法灯明」は真理を頼りにするという意味があります。
ろうそくの火は「煩悩の暗闇を照らす」
ろうそくの火は「火のように明光赫赫(めいこうかくかく)たるべき智慧」を表しています。
我が身を燃やして周囲を明るくする「仏様の智慧」は、邪念や煩悩によって覆いかくされた本来の私達を照らし出します。
ろうそくの火は「人間の命を象徴する」
「ろうそくが燃え尽きた時に人間の命もつきる」というような昔話を聞いたことがあるでしょう。
寿命の長さを示すのにろうそくの火を用いるようになったのは、ろうそく一本一本の素材、太さや長さなどの違いを人間になぞらえたのだと言われています。
仏壇のろうそくは照明、道しるべ、浄化の意味があります
ろうそくは火を灯して仏様やご先祖様の「灯り供養」に使われるものです。
しかし、何故ろうそくを仏壇供養に使うようになったのでしょうか?
ろうそくの火は「照明の役目」
電気照明が無かった大昔は、経典を読む時や儀式を行う際に暗闇を明るく照らすためにろうそくの火が使われていました。
ろうそくの火は「道しるべ」
ろうそくの灯りはあの世とこの世の架け橋になってくれます。
お盆には仏壇にろうそくの火を灯すと、ご先祖様や故人が迷うことなく現世に帰って来られると考えられています。
有名な仏教行事である「精霊流し」や「大文字の送り火」は、お盆に戻って来た先祖を再び浄土に無事に送りだすためのものです。
ろうそくの火は「邪念を払う」
ろうそくの火は、光に照らし出されてあらわになった私達の邪念や煩悩を払い去ってくれると言います。
ろうそくの火の暗闇を照らす力は邪気を払い、私達の周囲の不浄や穢を浄めてくれるのです。
その他「ご先祖様が私達の姿をよく見えるように」ろうそくの灯りを使うとも言われます。
仏壇に供えるろうそくには洋ろうそく、和ろうそく、LEDろうそくがあります
ろうそくには様々なタイプがありますが、仏壇で使われるのは主に洋ろうそく、和ろうそく、LEDろうそくの3つです。
洋ろうそく
最も一般的な細長い棒状のろうそくです。
主に石油由来のステアリンで作られ、芯には綿糸が用いられています。
ステアリンを使ったろうそくはススを出さず光も強いので、インテリアにもよく使われます。
安価で使い勝手がいいので、日々の仏壇供養ではこの洋ろうそくが便利です。
和ろうそく
ハゼの実、バーム油、なたね油などの植物油を原料として作られたろうそくで、芯には、い草やコヨリが用いられています。
油煙が少なく、もし仏壇についても楽に拭き取れます。ロウが垂れにくいのも特徴で、溶けたロウは芯が吸い取ってくれます。
和ろうそくは職人手作りの製品が多く若干高価ですが、火持ちがいいので長く使えます。
和ろうそくには上部の方が広がっている「碇型(いかりがた)」と呼ばれる形が多く、法要などの席でよく用いられます。
LEDろうそく(電気ろうそく)
火の不始末でろうそくの火が仏壇に燃え移ってしまうと火事に繋がる可能性もあります。
最近では安全性を考えてLEDのろうそくが多く販売されています。
LEDろうそくは家族に小さなお子さんや高齢者、ペットがいるご家庭でも安心して使えます。
また煙が苦手な方にもお勧めです。
仏壇で使うろうそくは用途や好みに合わせてお選びましょう
ろうそくの色で選ぶ
白いろうそく
「基本的に白いろうそくは日々の供養に使います。
他にも葬儀をはじめ、四十九日、一周忌、三回忌までの法要、月命日の時に使います。
赤いろうそく
「朱ろうそく」とも呼ばれ、三回忌以降の法要やお正月、仏前結婚式などおめでたい時に使います。
浄土真宗では七回忌以降の法要やお彼岸、お盆の時に使います。
ろうそくの使い方で選ぶ
ろうそくは通常ろうそく立てに立てて使いますが、水に浮かべて使うタイプのろうそくもあります。
水の上に浮かべると幻想的に揺らめく灯りを楽しむことができます。
ろうそくの燃焼時間で選ぶ
普通サイズのろうそくの燃焼時間は40~60分と日々の供養には少し長めです。
仏壇用に販売されているミニろうそくは5~10分で燃え尽きるので便利でお得です。
ろうそくのデザインで選ぶ
絵ろうそく
菊や桜、紅葉などの美しい絵が描かれたろうそくです。
お盆やお正月など特別な時に使ったり、供養品としてのギフトや、火をつけずに仏壇に飾って使う方が多いです。
お供え物を型どったろうそく
最近は食べ物や飲み物を型どったろうそくが豊富にあります。
故人が好きだったお菓子やお酒などの形のろうそくを仏壇に飾ることができ、匂いもなく腐らないので衛生的で管理も楽で、その上経済的です。
季節の行事に使うろうそく
お盆やお彼岸の時期のお供え物を型どったろうそくもあります。
精霊馬や迎え火・送り火、そしてお迎え団子やおはぎ等、種類も多彩です。
こちらも手軽に用意できて腐らない等の利点から人気があります。
仏壇で灯り供養をする時ろうそくの火は口で吹き消さず手や道具を使って消しましょう
仏壇で火を使っての供養をする際には、気をつけなければならない事があります。
ろうそくにマッチで火をつけた時、ろうそくの火を消したい時、ろうそくからお線香にうつした火がなかなか消えない時、ついつい吹き消してしまいたくなりますよね。
しかし、仏前で口で火を吹き消してはいけません。
仏教において人間の息は「不浄」のもの
仏教では人間の口は穢(けが)れやすく、人の息は不浄のものだという考えがあります。
ろうそくの火を吹き消すことは、そのような人の息を仏壇に吹きかけることになり失礼です。
では、どのように消せばいいのでしょうか。
手で扇いで消す
一番簡単なのは、ろうそくの火を手で扇いで消す方法です。手のひらを上下に小刻みに動かして火を扇ぐようにして消します。
専用の道具を使って消す
ろうそく消し
ひしゃくを小さい杓のような形をした道具で、ろうそくの火の上に被せると素早く安全に火を消せます。
仏扇(ぶっせん)
ろうそくの火を消すために作られた小さなうちわで、扇いで火を消します。
日常的に仏壇でろうそくの火をつけたり消したりするのなら、専用の道具を持っておくのもいいかもしれませんね。
仏教においてのろうそくの火は仏の光明で、浄土と現世に生きる人々とをつなぐ架け橋のような役割を担っています。
そして仏壇で灯すろうそくの火は、私達を浄め大切な故人を偲ぶための大切な空間をつくってくれるのです。