仏壇の選び方 【更新日】
仏壇の拝み方は礼で始まり礼で終わります
仏壇は寺院における須弥壇(しゅみだん)を模して造られたもので、現在のような仏壇の拝み方が定着し、家庭で仏壇を祀るようになったのは江戸時代からだと言います。
もともとはご本尊を安置して祀るためのものでしたが、今では先祖や故人の位牌を祀るという役割も担っています。
日々の暮らしの中で、仏壇の前に座ってお勤めをするのはとても大切なことです。
毎日仏壇に向かって手を合わせることで、ご本尊や先祖の方々に感謝の気持ちを伝えると共に故人に思いをはせて会話をし、更には自分自身を見つめ直すこともできるのです。
仏壇の拝み方については宗派や地域、菩提寺の考え方で変わり、各家庭に伝わる習わしもありますが、ここでは基本的な仏壇の拝み方と手順についてご紹介いたします。
目次
仏壇の拝み方は昔から変わらずまずはご本尊にご挨拶しお供えをします
仏壇の拝み方は宗派や地域によって若干異なるところもありますが、基本的な手順は同じです。
毎日の仏壇へのお参りは朝は朝食の前に、そして夜は夕食の後に、できれば家族そろって行うというのが正式な拝み方になります。
仏壇の扉を開けます
朝起きて洗顔などを済ませて身を清めたら、最初に仏壇の扉を開けます。
仏壇の扉の開け閉めに宗派共通の明確なルールはありませんが、各宗派や地域によっては厳密に決められている場合もあるので、心配な方は菩提寺などに聞いておくといいでしょう。
ご本尊にあいさつをする
仏壇の前にきちんと正座をして、まずはご本尊に一礼します。
手元供養などでご本尊が安置していない場合は、お位牌に挨拶します。
この時に「今日も一日元気で無事に過ごせますように」などと願います。
仏壇の拝み方その1 水・仏飯・花をお供えします
お供え物をする
ご本尊へのあいさつが終わったら、お供え物をします。
仏壇にお供えをおく時の拝み方は、立ったままではなく必ず床に両膝をつけてお供えするようにしましょう。
水(浄水)
茶湯器(ちゃとうき)に、新鮮な水かお茶を入れて仏壇にお供えします。
仏飯(ご飯)
仏前に供えるご飯「仏飯(ぶっぱん)」もお供えします。
仏様は湯気を召し上がるので、その日の朝の炊きたて最初のご飯をお供えします。
花
仏壇には仏花(ぶっか)もお供えします。
この時、水を取り替えたり花立を洗ったりします。
枯れた葉っぱや花びらは取り、花が古くなっていたら取り替えましょう。
お供え物を使った拝み方はどの宗派でも同じですが、浄土真宗では仏飯だけを供えます。
お供えがすんだら、仏壇の前に座り礼拝を始めます。
仏壇の拝み方その2 灯明や香に火を灯します
ローソクや線香に火を灯す
ローソク
マッチ等を使ってローソクに火を灯します。
この時、マッチに残った火は口で吹き消してはいけません。
火を消す時は手で扇ぐか、マッチ消しを使いましょう。
線香
そしてローソクから火を移す形で、線香に火をつけます。
線香にあがった小さな炎は、線香を片手で持ったままもう片方の手で扇いで消しましょう。
そして火が消えた線香を香炉に立てます。
供える線香の本数や手向け方は宗派によって異なるので、以下を参考にしてください。
ろうそくを灯して線香をあげたら、数珠を手に取ります。
仏壇の拝み方その3 数珠を持ちリンを鳴らします
数珠の持ち方
数珠は通常、左手の手首にかけて持ちます。
仏壇の前での拝み方は、数珠を両手の四指にかけ、両方の親指で軽く押さえます。
数珠の形や珠の数、持ち方や使い方は宗派によって異なります。
リンを鳴らして読経の開始を知らせる
仏壇の前に正座し、数珠があれば手にかけて軽く一礼します。
そしてリンを2回打って鳴らしてから、合掌します。
読経を行わない場合には、リンは鳴らしても鳴らさなくても問題ありません。
仏壇の拝み方その4 合掌して、読経します
リンを鳴らしたら合掌して、読経を始めます。
もし分からない場合は、リンを鳴らして拝むだけでも大丈夫です。
お経・念仏
実は「お経」と「念仏」には違いがあります。
お経:仏の教えを読み上げること(各宗派の経典)
念仏:仏のことを念じ、仏に対して誓うこと(仏の名称)
仏壇前での念仏も、宗派によって異なります。
真言宗:「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」
曹洞宗・臨済宗:「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」
日蓮宗:「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」
浄土宗・浄土真宗:「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」
が基本になります。
正確に言うと、日蓮や法華系の宗派で唱える「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」は、念仏ではなく「お題目」です。
お題目では「経典の名称」を唱えることで長いお経の代替をしています。
念仏やお経をきちんと唱えたい人は、菩提寺の僧侶に相談するといいでしょう。
仏壇の拝み方その5 扉をしめて終わります
リンを鳴らして読経の終わりを知らせる
お経を唱え終わったら再びリンを2回(もしくは3回)鳴らして、読経が終わったことを知らせます。
読経をしない場合は、2度目のリンを鳴らす必要はありません。
合唱・礼拝
最後に合掌をして、もう一度一礼します。
真言宗では三度礼拝し、その他の宗派では一回行うのが一般的です。
ローソクの火を消す
最後にローソクの火を消して、軽く一礼して終わります。
手で扇いで消すかローソク火消しを使います。
仏飯を下ろす
最後にお供えした仏飯を下ろして退席します。
仏飯は、朝のお勤めが終わったらすぐに下ろします。
衛生上の観点からも、食べ物は仏前に長時間おきっぱなしにしない方がいいでしょう。
礼拝がすんでから朝食を取りますが、この時下ろした仏飯もお下がりとしていただきます。
朝の礼拝後は二重扉の仏壇は内扉だけを閉めます。
仏壇の拝み方は朝も晩も基本的には同じです
夜の礼拝
就寝前にもできればお勤めをしましょう。
流れは朝と同じ様に行います。
夜の礼拝後が終わったら、仏壇の内側と外側の扉を閉めます。
日中の拝み方
ここでは朝と夜の拝み方について書きましたが、もちろん日中でもお参りは可能です。
例えば知人が結婚したとか、子供が100点をとったとか、ご先祖様や故人に伝えたいことがある時には仏壇の前に座って手を合わせ、その報告をするというのも大切なことです。
仏壇の拝み方は人それぞれです。1日に何回お勤めしても全く問題ありません。
この記事では基本の仏壇の拝み方を紹介しましたが、実際には宗派やお寺の考え、地域や家族の慣習によって様々です。
ご自分の宗派やご家庭の拝み方に従うことはもちろん大切なことですが、慌ただしい生活の中では理想の拝み方通りにはできない方もいらっしゃるでしょう。
でも、そんな時でも後ろめたい気持ちをもたずに、ご自分のできる範囲で供養を続けられればいいと思います。
日々の仏壇のお参りは「仏様や故人に感謝し、自分達が毎日元気であることを報告する」ためです。
重荷に感じて続けるのでは元も子もありません。
仏様や故人を供養したいという気持ちがあれば充分なのです。