仏壇の選び方 【更新日】
お盆の仏壇飾りの基本は「精霊棚(しょうりょうだな)」です
お盆の時期には仏壇にたくさんのお供え物を飾り、ご先祖様や故人の霊を盛大に迎えておもてなしをします。その大切なおもてなし準備の中に「仏壇飾り」があります。
日本の伝統的な行事であるお盆の飾り付けは、宗派や地域によって必要な物やお供え物の飾り方などが異なり、その方法は実に多種多様です。
ここでは、基本となるお盆の時期の仏壇の飾り方について解説いたします。
目次
お盆には帰省する故人の霊のために仏壇を飾ります
お盆とは
お盆には浄土にいる先祖や故人の霊がこの世に戻り、家族と一緒に過ごすというものです。
門口や仏壇付近には灯りをともし、普段の水、花、線香以外の特別なお供え物を準備します。仏壇の前には「精霊棚」を作って、お菓子や果物などで華やかに飾ります。
お盆の由来
日本には仏教が伝わる前からご先祖様を尊ぶという神道の習慣がありましたが、それに仏教の御例祭「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が合わさり、現在のお盆のもとになったと言います。
お盆の時期
お盆はもともと中国の道教の行事から来ていて、日本でも旧暦7月15日の「中元節(ちゅうげんせつ)」に祝われていたものです。
しかし明治時代に新暦を使うようになった時、お盆の日付はひと月遅れの8月半ばに変更されました。
初盆(新盆)
故人が亡くなって四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆は非常に大切で、「初盆(はつぼん・ういぼん)」または「新盆(しんぼん・にいぼん・あらぼん)」と呼ばれています。
初盆では僧侶が読経を行った後にお焼香や会食が行われ、参加者は遺族と共に故人を偲び冥福を祈ります。
お盆の仏壇に「精霊棚」を飾りつける時期や方法は地域や宗派によりかわります
精霊棚(盆棚)
お盆に仏壇の前に設置する供養の棚を「精霊棚」または「盆棚(ぼんだな)」と呼びます。
精霊棚の上は、盆花(ぼんばな)や食べ物などの様々なお供え物で飾ります。
お盆の仏壇飾りは使うものや配置などが地域や家庭、宗派によって多種多様なのですが、ここでは基本的な飾り方を見てみましょう。
精霊棚の飾りをする時期
精霊棚の組み立ては12日、飾り付けは13日の午前中にします。
精霊棚やお供え物は盆が明けた後、遅くともお盆の月が終わるまでには全て片付けます。
精霊棚を設置する準備
仏壇から位牌などの仏具を取り出し、仏壇の扉は閉めて(宗派で異なる)その前に精霊棚を組み立てられるようにします。
精霊棚の組み立て
まずは仏壇の前に精霊棚を組み立てます。昔ながらの精霊棚を作るには色々と準備が必要です。
まこも(こも)の敷物
組み立てた精霊棚には「真菰(まこも)」という植物でできたゴザを敷いて、その上に飾り付けをします。
竹笹
精霊棚の四隅の角に葉のついた竹笹を立てて支柱を作ります。
しめ縄
四隅に立てた竹の上の方にしめ縄を張って結界を作ります。
ほおずき・素麺・昆布
奥側(仏壇側)のしめ縄には、ほおずきや素麺、昆布を縄に吊るして飾ります。これらは仏壇や精霊棚の上に飾ることもあります。
盆提灯(ぼんちょうちん)
精霊棚の両脇や仏壇には盆提灯を飾ります。お盆に灯す火はあの世とこの世を繋ぐ役割を持ちます。
お盆に霊を迎え入れる為にお位牌などの仏具を仏壇から出して精霊棚に飾ります
精霊棚の飾り付け
仏壇の前に精霊棚が出来上がったところで棚の上に位牌を安置し、周りを様々なお供え物で飾りつけていきます。
位牌
仏壇から出した位牌は、精霊棚の中央奥に安置します。
精進料理
位牌の前には、後述する精進料理を置きます。
供養の仏具
棚の手前側には、香炉、ローソク立て、おりんを置きます。
盆花(仏花)
キキョウやハギ等の花を使って、仏前を華やかに飾ります。
水の子
ナスやきゅうりをサイの目に刻み、「閼伽水(あかみず)」と洗った米を混ぜ、水を張った器(蓮の葉の上)に盛って飾ります。
「閼伽(あか)」とは仏前に供養する水のことです。
ミソハギの花
精霊花であるミソハギを水を張った器(蓮の葉の上)に入れて作った「閼伽水」は、毎日水の子にふりかけてあげます。
夏の野菜や果物
百味五果と呼ばれ、たくさんの果物や季節の野菜を飾ります。
キュウリとナスの飾り
お盆の仏壇飾りとして有名なキュウリやナスは「精霊馬」と「精霊牛」と呼ばれるもので、馬と牛の脚に見立てたオガラを、きゅうりとナスに挿して作ります。
これは故人やご先祖様が浄土とこの世を往来するための乗り物で、通常はキュウリが馬でナスが牛です。
位牌や供養仏具以外のお供え物は、棚の空いているスペースに飾ります。
お盆には仏壇に精進料理を入れた「霊供膳(れいぐぜん)」を飾ります
精霊棚に安置した位牌の前には「霊供膳」を飾ります。
霊供膳(れいぐぜん)・仏膳(ぶつぜん)・供養膳(くようぜん)
色々な名前で呼ばれますが、どれもお盆や法事の時に仏前にお供えする精進料理のお膳のことです。
お膳に料理が入った5つの器をのせて仏壇にお供えします。
霊供膳の各器に入れるお供え物
霊供膳の5つの器は、それぞれに入れる料理とお膳の位置が決まっています。
親碗(おやわん)
ごはんを丸く大盛りに盛って、お膳の左下に飾ります。
汁椀(しるわん)
お味噌汁やお吸い物を入れて、お膳の右下に飾ります。
平椀(ひらわん)
和え物や煮物を入れて、お膳の左上に飾ります。
壺椀(つぼわん)
煮豆・胡麻和えなどの和え物を入れて、お膳の右上に飾ります。
高坏(たかつき)
漬物など香の物を盛って、お膳の中央に飾ります。
仏壇前に霊供膳を置くときの向き
霊供膳は仏様が食べやすいように親椀・汁椀・箸のある方と仏壇の奥が向き合うように置き、お箸は取りやすいようにお膳の端にのせておくのが一般的です。
ただし、霊供膳を置く場所や向きは、宗派や地域などによって変わる事があります。
浄土真宗のお供え
「死即往生」の教えの浄土真宗ではお盆に故人が戻ってくるという考えはないため、霊供膳や精霊棚などの準備はしません。
浄土真宗でするお供え物は祖先や故人のためではなく、阿弥陀如来への感謝の気持ちを表すものです。
お盆の仏壇には3種類の呼び方の特別なお団子も飾ります
五供(ごくう)
日々の仏壇のお供えの基本は「五供(香・花・灯・浄水・飮食)」と言われますが、お盆の期間も仏壇に線香、仏花、ローソク、水(またはお茶)、ご飯を毎日お供えするのが基本です。
お団子
五供と共に「団子」はお盆を代表するお供え物ですが、団子の数や供え方は地域差があります。
お迎え団子
お盆の初日13日にはご先祖様をお迎えするために「お迎え団子」を作って、精霊棚にお供えします。
お団子はタレやあんこのものを6個以上、もし積み上げる形にする場合は20個使って四段にして飾ります。
落ちつき団子(お供え団子)
ご先祖様や故人の滞在中(中日)には、仏壇前の精霊棚に「落ちつき団子」を飾ります。
送り団子
お盆が明ける16日には棚に「送り団子」を飾り、ご先祖様や故人を見送ります。
お見送りの時には、何も付けない白いお団子を供えるのが一般的です。
その他のお供え物
お盆の期間には普段よりも多くの種類のお菓子やお餅、果物などのお供え物で仏壇を見栄えよく飾ります。
供え物は1対の段盛(だんもり)、高月等を用意して、お菓子やお餅などを左右対称に飾ります。
お供え物は共に供するという意味があり、仏様と分け合っていただくことが供養につながるとされています。
お菓子や果物などのお供え物も一旦仏壇にお供えをした後は、家族が食べたりお参りに来た人に配ったりします。
年に一度のお盆は、ご先祖様や亡くなった故人の霊を供養するとても大切な仏教行事です。
お盆の仏壇飾りは多少手間がかかりますが、私達からご先祖様や故人への感謝の気持ちを表すものなのできちんと用意しましょう。
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