仏壇の選び方 【更新日】
日蓮宗の仏壇の選び方からご本尊の祀り方や仏具の飾り方まで解説します
日蓮宗は鎌倉仏教の一つです。
歴史の長い日蓮宗ですから、多くの分派があります。そして、その分派の数だけ仏壇に特徴がみられます。
宗派の宗旨や教義にできるだけ反しないよう、仏壇や仏具を選び、ご本尊を正しく祀りたいと考える方は多いでしょう。
しかし正式に祀ろうとすると、仏壇はどうしても必要になる仏具の数が増えていきます。
それらをどのように飾り付けたらよいか、分かりにくいと思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日蓮宗での仏壇の選び方、ご本尊の形式、仏壇で用いる仏具とその飾り方までを、できるだけわかりやすく解説します。
日蓮宗は南妙法蓮華経で有名な鎌倉仏教の一つです
日蓮宗は鎌倉時代中期の僧侶「日蓮聖人(にちれんしょうにん)」を宗祖とする仏教宗派です。
千葉県の清澄寺(せいちょうじ)で「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」と高唱したのが開宗とされます。
これは「妙法蓮華経を崇拝いたします」という意味ですが、この妙法蓮華経というのは「法華経」の正式名称です。
日蓮宗には、顕本法華宗(けんぽんほっけしゅう)、日蓮正宗(にちれんしょうしゅう)、法華宗(本門流・陣門流・真門流)など、様々な分派が存在し、それぞれに本山寺院があります。
山梨県にある「身延山久遠寺(みのぶさんくおんじ)」は日蓮宗の総本山とされます。
日蓮宗の仏壇へ安置するご本尊にはさまざまな形式があります
日蓮宗では仏壇へのご本尊の祀り方には、いくつかの形式があります。
大曼荼羅御本尊
「大曼荼羅御本尊(だいまんだらごほんぞん)」とは、掛軸の中央に南妙法蓮華経と書かれ、その周囲に「十界(じゅっかい)」それぞれの如来様や仏神様に菩薩様の名称が書かれた曼荼羅です。
そのため、「十界曼荼羅」ともいわれます。日蓮宗では多くの場合ご本尊といえばこちらを指します。
なお、大曼荼羅御本尊は文字により書かれることが一般的ですが、絵によって描かれた曼荼羅もあります。
一塔両尊と一塔両尊四士
「一塔両尊(いっとうりょうそん)」とは、日蓮宗のご本尊の形式です。
一塔とは「お題目」として南無阿弥陀仏と書かれた仏塔で、「宝塔(ほうとう)」ともいいます。
両尊は左側に「釈迦如来」様を、右側に「多宝如来(たほうにょらい)」様を配置します。
「一塔両尊四士(しし)」は、一塔両尊に四菩薩を加えた形式です。
左外側に「上行(じょうぎょう)菩薩」様を、左内側に「無辺行(むへんぎょう)菩薩」様を配置し、右内側に「浄行(じょうぎょう)菩薩」様を、右外側に「安立行(あんりゅうぎょう)菩薩」様を配置します。
それぞれまとめて「三宝尊(さんぽうそん)」といいます。
三宝とは仏像の数などではなく、「仏・経・僧」のことです。
日蓮聖人と鬼子母神と大黒天
大曼荼羅御本尊や一塔両尊・一塔両尊四士の形式の前に、日蓮聖人像を配置します。
そして大曼荼羅御本尊の場合、その左脇掛(わきがけ)として「鬼子母神」様を、右脇掛として「大黒天」様を配置します。一塔両尊や一塔両尊四士の場合、脇掛の代わりに日蓮聖人像の左側に鬼子母神像を、右側に大黒天像を配置します。
日蓮聖人像や脇掛は、ご本尊よりも小さいサイズを選びましょう。
日蓮宗ではご本尊を安置する際に、菩提寺での「開眼供養」が必要な場合があります。
ご本尊を購入する前に菩提寺に相談し、その際に開眼供養も依頼するといいでしょう。
日蓮宗の仏壇は唐木仏壇かモダン仏壇を選びましょう
日蓮宗の仏壇は、金仏壇は避け、唐木仏壇かモダン仏壇(家具調仏壇)から選びます。
唐木仏壇
唐木仏壇は黒檀や紫檀などの高級木材を用いた仏壇で、木目の美しさなどに生かして作られています。
最近ではより仏壇が長持ちするように、合成樹脂やプラスチックなどを使用したタイプの唐木仏壇もあります。
モダン仏壇
最近はリビングなどの洋室にも馴染むようにデザインされた「モダン仏壇」を選ばれる方が増えています。
上置型のミニモダン仏壇もあるので、住宅事情に合わせて仏壇の種類や大きさを選びましょう。
仏壇の置き方と向き
日蓮宗では、仏壇を設置する場所やの向きなどには決まりはありませんので、ご家族が日々お参りしやすい場所に安置することをおすすめします。
また仏壇をできるだけ長持ちさせるためには、湿気の多い水回りや直射日光の当たる場所は避けた方がいいでしょう。
日蓮宗の仏壇へ飾り付ける仏具と置き方
日蓮宗でのお参りでは、「五供(ごくう)」と呼ばれる「花、灯、香、飮食(おんじき)、浄水」を供えるのが基本の供養となります。
仏壇にその「五供」を供えるための仏具の並べ方を説明しますが、ここでは仏壇の段数を4段と想定して説明します。
3段しかない場合は、仏壇前に「経机(きょうづくえ)」を設置して、4段目の仏具を配置するなどしてください。
最上段
仏壇内側の壁には「大曼荼羅御本尊」を掛け、その前に日蓮聖人像や脇侍(鬼子母神・大黒天)、一塔両尊や一塔両尊四士を祀ります。
二段目
「お位牌」はご本尊の一段下に配置しますが、ご本尊が隠れないよう注意して上座である右側から配置していきます。
中央には左に水を入れた「茶湯器(ちゃとうき)」、右に炊きたてのご飯を入れた「仏飯器(ぶっぱんき)」をお供えします。
この2つは「仏器膳(ぶっきぜん)」にのせて供えるのがより正式な形です。
三段目
中央にお菓子や果物をのせた1対の「高坏(たかつき)」置きます。そして左端には「花立」を設置します。
より正式にする場合は右端にもう1本花立を飾ります。
花立には生花を生けてお供えします。
四段目
中央に「前香炉(まえこうろ)」を設置します。日蓮宗では、前香炉に線香を1本立てて供えますが、3本使用する場合もあります。
その右隣に「ローソク立て」を置きますが、正式な場では、ローソク立てをもう1本香炉の左隣に追加します。
前香炉の左側には「線香立て」と「マッチ消し」を配置します。
読経の合図に使う「おリン」はローソク立ての右側へ設置し、その奥には見台(けんだい)にのせた「過去帳」を設置します。
過去帳とは「戒名」や俗名、没年月日が記述された家系図のような役割をもつ仏具です。
もし上の段に余裕があるのなら、過去帳は三段目の右側に置きましょう。
日蓮宗では基本的に唐木仏壇かモダン仏壇(ミニモダン仏壇)を、住宅事情に合わせて選びます。
日蓮宗のご本尊の形式には分派の特徴がみられるため、購入する際には菩提寺に相談されることをおすすめします。
仏壇は日々お参りをするために必要な、仏教徒の生活の中心となるものです。
日々使用するものですから、ご自身やご家族の生活スタイルに合わせて選択するといいでしょう。
その際に不安な点や確認したい点がありましたら、当店へお問い合わせ頂けますと幸いです。