仏壇の選び方 【更新日】
仏壇内での仏具の役割を理解すれば基本的な並べ方は簡単に覚えられます!
お仏壇には多くの仏具が置かれているものです。
お仏壇をお持ちの方は大掃除や引っ越しの後、いったん退けた仏具をどこに戻せばいいのか悩んだ経験があるのではないでしょうか。
お仏壇での仏具の並べ方にはたったひとつの正解はなく、宗派はもとより供養スペースや供養シーンなどでも変わってきます。
たとえば現代の生活スタイルや供養スペースを考えると、普段から全ての仏具を使用して祀っているという方は少ないでしょう。
これからお仏壇の購入を考えている方にとって、お仏壇に最低限必要な仏具、そして基本の並べ方の2つは、特に知っておきたい点だと思います。
この記事では、お仏壇の供養に使う基本仏具の役割と、宗派や使用仏具の数、供養スペースを問わずにできる「基本の並べ方」を分かりやすく解説いたします。
目次
仏壇内の仏具の並べ方はスペース、供養シーン、宗派によって異なります
お仏壇の供養スペース
伝統的な大型仏壇には、供養スペースである「須弥壇(しゅみだん)」が3段あるものがほとんどなので、多くの仏具を並べることができます。
スリムに造られたモダン仏壇だと横幅や奥行き、高さも控えめなので、伝統仏壇よりも仏具をおけるスペースが若干少なくなります。
更に上置き型のミニ仏壇では段数も2段程度とコンパクトになっています。
この場合は基本の仏具だけを選んで使ったり、スライド式仏具板などを最大限利用します。
お仏壇の供養シーン
お供えに使用する仏具とその並べ方は、日常の供養の時と正式なお祀りの際で異なります。
法事やお盆などの時には、普段より多くの仏具を使用することになります。
一般的に対で使われる仏具は正式に対で飾り、特別なお供え物やお膳を供えるための仏具も使用します。
上置型の仏壇でも伝統的な床置き型の仏壇でも、可能な供養スペースを最大限利用してお仏壇を飾りますが、仏壇内に納まりきらない場合は「経机(きょうづくえ)」などを設置してその上に仏具を置きます。
宗派によって変わる仏具の並べ方
お仏壇に使用する仏具の種類や数、並べ方や祀り方は、宗派によって異なります。
特に浄土真宗系では他の宗派と違う点が多く、更には「西本願寺派」か「真宗大谷派」か、と同じ宗派内でも変わるので注意が必要です。
仏壇に最低限必要な仏具「三具足」と法要時の「五具足」の並べ方
どの宗派ででも最低限必要とされる仏具は「三具足(みつぐそく)」です。
お仏壇に花立、ローソク立て、香炉の3つの具足を置いて「花供養」「灯り供養」「香り供養」をします。
三具足と五具足
三具足では3つの仏具だけを使用するので、小さめのお仏壇でもスペース問題がありません。
日常的な供養では最低限三具足さえあれば大丈夫です。
法事や命日の時には、花立とローソク立てを1つずつ増やした「五具足(ごぐそく)」を使います。
五具足と呼ばれますが、実際に使用する仏具の種類は3種類です。
日々の供養でもスペースに余裕がある場合は、五具足を使って正式に祀る方も多いです。
三具足の時はお仏壇中央に香炉を置き、右側にローソク立て、香炉の左側に花立を飾る並べ方が基本です。
香炉は彫りや絵柄が入っている場合はそちらを手前に向けて置き、三脚の香炉は一本足を手前、二本足を後ろ(仏壇側)にして置くのが作法となります。
五具足を使用する場合には、中央に香炉、その両脇に1対のローソク立て、更に外側に1対の花立を置いて祀ります。
仏壇に五供(ごくう)を供える時には仏具の並べ方が変わります
三具足と五具足の使い方と並べ方が分かったところで、次は「五供(ごくう)」について理解しましょう。
五供(ごくう)
お仏壇へのお供えの基本は「五供(ごぐう)」です。
五供では三具足(または五具足)での花供養、灯り供養、香り供養の他に、「浄水供養」と「飲食供養(おんじきくよう)」をします。
日々の生活で「五供」で供養するのが難しい場合でも、祥月命日やお盆、お彼岸やお正月には「五供」をお供えするのが重要です。
そのためには、三具足(五具足)の他に、浄水供養のための「茶湯器(ちゃとうき)」と飲食供養に使う「仏飯器(ぶっぱんき)」が必要になります。
茶湯器と仏飯器
「茶湯器」は、お水やお茶をお供えするフタ付きの仏具です。
宗派や使用シーン、供養スペースによっては2つ使います。
「仏飯器」はご飯をお供えするための仏具で、毎日炊きたてのご飯をお供えします。
宗派や使用シーン、供養スペースにより1~4つの仏飯器を使います。
茶湯器と仏飯器の並べ方
茶湯器や仏飯器は「仏器膳(ぶっきぜん)」にのせて供えるのが正式です。
「飲食供養具」はとても大切なので、基本的にお仏壇の最上段のご本尊の正面、もしくはお位牌を祀る2段目に供えます。
この2種類の仏具の並べ方は、使用する個数によって変わってきます。
茶湯器と仏飯器を1つずつ使用:左に茶湯器、右側に仏飯器
茶湯器を1つ、仏飯器を2つ使用:中央に茶湯器、その両脇に仏飯器
茶湯器を1つ、仏飯器を3つ使用:中央の左に茶湯器、右に仏飯器、その両側に仏飯器
その他の仏具の並べ方は仏壇の使いやすさを重視
飲食供養サポート仏具
飲食供養では、他にも1対の「高坏(たかつき)」や「段盛(だんもり)」を使ってお菓子や果物をお供えします。
通常これらの飲食サポート仏具の並べ方は、茶湯器と仏飯器の近い場所を意識します。供養スペースによって仏器膳の左右に置くか、その一段下の中央に並べて置きましょう。
香供養サポート仏具
「線香差し」と「マッチ消し」の並べ方ですが、これは香供養のサポート仏具なので、香炉の左側に置いておくと便利です。
リンと過去帳
お参りの時の合図に使う「お鈴(リン)」は、鳴らしやすいよう右側の一番手元にくるように置きます。
お仏壇に過去帳を置く場合は、リンの右後ろに置きましょう。
基本仏具セット
仏壇店でお仏壇を購入する際、基本仏具セットと合わせて購入することが可能です。
セット購入の仏具は、仏事コーディネーターがお仏壇に合わせて選んだ数パターンの仏具セットの中からお選びいただけます。
セット販売はお値段的にもお得なので、仏具選びにお悩みの場合はご利用ください。
お仏壇内での並べ方というものは、持っている仏具の数、供養に使えるスペース、法事など特別なシーンによって変わってくるものです。
しかし、ここでご紹介したように仏壇内で各仏具が果たす役割を考えながら配置すれば、状況が変わっても対応できると思います。
ただ、宗派や地域の慣習によって部分的にこの方法が通用しない場合もありますので、お近くのお寺様に確認された方が確実でしょう。