仏壇の選び方 【更新日】
浄土宗では仏壇は華美なものではなく質素で清潔なものを良しとされています
浄土宗の方が新たにお仏壇を購入したり、買い替えたりする際には、いくつか押さえておかなければならないことがあります。
設置するお部屋に合わせてお仏壇の種類や大きさを選び、購入した後は実際にお仏壇を安置し、日々のお参りが始められるように整えなければなりません。
お仏壇があっても、お祀りするご本尊様や脇侍(わきじ)や仏具がなければお参りはできません。
しかし浄土宗の場合、どのご本尊様やどういった仏具を選ぶ必要があるのでしょうか。
そしてお仏壇内で、どのように飾り付ければいいのでしょうか。
お位牌を安置する場合は、お仏壇のどこに祀ればいいのでしょうか。
この記事では、浄土宗におけるお仏壇やご本尊、仏具の選び方、そしてお仏壇への飾り方についてご紹介します。
目次
浄土宗とは『南無阿弥陀仏』を唱えることで救われる他力本願の宗派
浄土宗とは
浄土宗は法然上人(ほうねんしょうにん)が開いた仏教宗派で、日本に13宗あるといわれる日本の伝統仏教のひとつに数えられている宗派です。
「仏様にひたすらすがれば救われる。そのために『南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)』と唱えることで仏様に守られて平和な人生をおくることができる。そして亡くなった後は、極楽浄土に生まれることができる」という他力本願の教えです。
浄土宗は当時、貴族のための宗教だった仏教を民衆のために大衆化した最初の仏教といわれています。
そして浄土宗は今までの仏教とは異なる新しい教えだったために多くの迫害をうけましたが、庶民の間で受け入れられることによって日本全国に広がっていきました。
自分の宗派を確認する
浄土宗でお仏壇を新調するときには、一度ご家族の菩提寺に行って相談してみるといいでしょう。
仏事関係を祖父母や両親にまかせっきりにしていた人は、自分の宗派が浄土宗であることはわかっていても、細かいことはほとんど知らないのではないでしょうか。
実は浄土宗には昔9つの流派があったとされ、現在は鎮西派と西山派の2つの流派があり、西山派の中で更に細かく3つの派にわかれているのです。
もしご存じないのであれば、一度正しく確認しておくことをおすすめします。
浄土宗ではお仏壇は清潔を良しとしますから掃除のしやすいお仏壇がオススメです
浄土真宗を信仰しているご家庭では金仏壇にする場合が多いため、浄土宗のお仏壇にも何か決まりがあると思っている人は多いのではないでしょうか。
浄土宗にふさわしい仏壇
浄土宗でお仏壇を選ぶ時には特に決まりごとはありません。
浄土宗ではそのような形にこだわるよりも、いつでも家族がご本尊である阿弥陀如来に礼拝し、ご先祖を供養できることが大切だと考えます。
ですから、華美なものではなく、質素で清潔なお仏壇を祀ることがよいとされています。
そして仏壇は家庭の中心であることも忘れないようにしましょう。
唐木仏壇とモダン仏壇
浄土宗では比較的自由なお仏壇選びができます。
昔から浄土宗で使われているのは伝統的な唐木仏壇ですが、最近ではモダン仏壇(家具調仏壇)といった現代的な仏壇を選ばれるご家庭も増えています。
伝統仏壇よりスリムに作られたモダン仏壇は、現代的な生活空間に溶け込むようなデザインでつくられた仏壇です。
最近では核家族化が進み、マンションなど、和室のない居住空間にお住まいの方が増える中、モダン仏壇の需要が高まっています。
モダン仏壇なら、おしゃれなリビングに置いてもインテリアに馴染みますし、上置型のモダンミニ仏壇は家具の上に設置できるので場所もとりません。
家にあまりスペースがないけれど、お仏壇はやはり伝統的なものがいいとお考えの方は、タンスの上にも置ける上置型の唐木仏壇を選ばれるといいでしょう。
しかし現代的なデザインのお仏壇が増えてきたとはいえ、お仏壇はご本尊をお祀りしご先祖を供養するためのものですので、新調する前に念のため菩提寺に相談することをおすすめします。
浄土宗のお仏壇のご本尊は「阿弥陀如来」脇侍は「円光大師法然」と「善導大師」
お仏壇を購入してもご本尊がなければ意味がありません。
ご本尊はお仏壇の中央に大切にお祀りして、日々のお参りをしましょう。
浄土宗の仏壇にお飾りするご本尊と脇侍をご紹介します。
ご本尊
浄土宗におけるご本尊は「阿弥陀如来(あみだにょらい)」です。
阿弥陀如来には坐像と立像がありますが、浄土宗のお仏壇では、主にお立ちになったお姿の阿弥陀如来立像を祀ります。
右手を上げ、左手は下げ、その指は阿弥陀如来の印相を結んでいます。
尊像の後ろの光背が船の形をしていることから「舟立弥陀(ふなたてみだ)」と呼ばれます。
舟立弥陀は、迷いの苦しむ人々を救うために立ち上がって、今まさに歩みだそうとしている阿弥陀如来を表現した仏像です。
舟立弥陀如来像が一般的ですが、「座弥陀如来像(ざみだにょらいぞう)」や「阿弥陀如来の掛け軸」をお祀りしても全く問題はありません。
ご本尊は、お仏壇の最上段の中央に安置します。
脇侍
ご本尊の左右には、阿弥陀如来を補佐する役割を持つ「脇侍(わきじ・きょうじ)を祀ります。
左側の脇侍の「円光大師法然(えんこうだいしほうねん)」は、浄土宗の開祖である法然上人です。浄土宗では法然上人のことを「元祖様(がんそさま)」とお呼びすることがあります。
右側の脇侍を務める「善導大師(ぜんどうたいし)」は、中国浄土教義を大成した人として尊敬されており、浄土宗では「高祖様(こうそさま)」と呼ばれています。
脇仏
浄土宗ではご本尊と脇侍とは別に、ご本尊にとって意義深い仏を脇侍と本尊の間にお祀りします。
左に「勢至菩薩(せいしぼさつ)」・右に「観音菩薩」をご安置する形が荘厳なお祀りの形式です。
浄土宗のお仏壇に必要な仏具とその飾り方を須弥壇が4段の仏壇で解説
今まで祖父母や両親にまかせきりで意外と知らないのが自分の宗派のお仏壇での作法です。
ご本尊やご先祖に失礼がないように、浄土宗のお仏壇における仏具の基本的な飾り方を覚えておきましょう。
お仏壇のサイズや使用する仏具の数によっても飾り方は変わりますが、ここでは須弥壇(しゅみだん)が4段ある床置き型の仏壇を想定し、その前に経机(きょうづくえ)を置いた場合の例を紹介します。
最上段
お仏壇の最上段の中央にはご本尊「阿弥陀如来」を安置し、その左に「円光大師法然」、右に「善導大師」をお祭りします。
二段目
お位牌はご本尊より一段低い位置の右側から置きます。
その時、ご本尊が隠れないように注意します。
三段目
中央には湯茶器(ゆちゃき)、その左右には1対の仏飯器(ぶっぱんき)を配置して仏器膳(ぶっきぜん)にのせてお供えします。
最下段
中央には1対の高杯(たかつき)を置きます。
そして左右に1対の花立を設置します。
経机
経机の中央に前香炉を置き、その左右に1対のローソク立てを置きます。
左側の空いたスペースには線香立てとマッチ消し、右手前にはリン、右奥には見台(けんだい)にのせた過去帳を配置します。
ここでは基本的な飾り方をご紹介しましたが、もっと正式に祀る場合は使用する仏具の数も増え、飾り方も変わってきます。
ミニ仏壇などを使用する場合は仏具を段の前後に配置したりして調整することになります。
浄土宗で使用する仏壇は、華美なものではなく質素で清潔なものにすることがよいとされています。
もし現代的なお仏壇を選ぶのが心配だという方は、購入前にご自身の菩提寺に相談されると安心でしょう。
お仏壇は家の中にお迎えした小さなお寺ですから、新しいお仏壇を購入したら正しく仏具を配置して、毎日のご供養を始めてください。