仏壇の選び方 【更新日】
浄土真宗で「金仏壇」以外を選ぶときには菩提寺への相談から
仏教徒にとって「お仏壇」は大切な存在です。
昔ながらのお仏壇というと、大型の黒い唐木仏壇をイメージされる方が多いと思いますが、実は伝統仏壇には浄土真宗を中心に発展してきた「金仏壇(きんぶつだん)」という荘厳に輝くお仏壇もあるのです。
浄土真宗では主にこの「金仏壇」が推奨されるのですが、これは絢爛豪華に造られた金仏壇には阿弥陀如来のおられる極楽浄土の世界が表現されているからです。
しかし最近では浄土真宗系の宗派の方でも、住宅環境やご家族の好みに合わせて「唐木仏壇」や「モダン仏壇(家具調仏壇)」を選ばれる方が増えてきています。
浄土真宗系の方でも金仏壇ではなく、唐木仏壇やモダン仏壇を使用してもいいのでしょうか?
今回は、浄土真宗のお仏壇を選ばれる際に、おさえておくべきポイントを解説いたします。
目次
浄土真宗は日本仏教最大の宗派です
浄土真宗の宗祖は、親鸞聖人(しんらんしょうにん)と言われています。
浄土宗の宗祖である法然上人のもとで高弟となり、その教えである「浄土門の念仏」こそ真実であるとし、信心を徹底なされました。
阿弥陀如来のおられる極楽浄土に往生するため「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱えるのが、浄土門の念仏です。
親鸞聖人はこうした教学を『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』(正式名称:顯淨土眞實敎行證文類、国宝指定)の草稿本として著しました。
その後、浄土真宗の各宗派にて「御法典・御本書」と呼ばれ、経典として崇敬されております。
日本における仏教の宗派は浄土真宗以外にも、真言宗、天台宗、日蓮宗、浄土宗、浄華厳宗、法相宗、律宗、融通念仏宗、時宗、曹洞宗、臨済宗など、数多くあります。
文化庁公表の平成30年『宗教年鑑』によると、日本における信者数は、神道系47.6%、仏教系47.1%の比率となっています。
その中でも仏教系の信者数において、上位2位までを浄土真宗本願寺派(本山寺院:西本願寺)と真宗大谷派(本山寺院:東本願寺)がしめ、仏教系全体の18%に及んでいます。
浄土真宗にはそのほかにも多くの宗派があります。
合わせて浄土真宗の信者数は、平成29年12月31日時点で日本仏教のおよそ20%を占める最大の宗派です。
浄土真宗では金仏壇を使うのが一般的です
浄土真宗のお仏壇として、まず金仏壇を真っ先に思い浮かべる方は多いでしょう。
浄土真宗の金仏壇
金仏壇は浄土真宗の象徴とされ、宗旨である「阿弥陀如来への本願により浄土へ導かれるという教え」を表したお仏壇であると言われております。
「金は汚れのないもの」で、浄土を表しているとされます。また全体が金箔で覆われた内装の荘厳さは、ご本尊の性根が宿った状態を示すものともされております。
お仏壇の内部に設置される宮殿(くうでん)は、各宗派の中心となるお寺様を模して造られますので、金仏壇を選ぶ際には、自分の宗派ではないお仏壇を購入してしまわないように注意が必要です。
浄土真宗西本願寺派の金仏壇
宮殿は、西本願寺の阿弥陀堂(あみだどう)を模した造りになっています。
宮殿は一重破風(ひとえはふ)屋根で、外柱全体が金箔で覆われているのが特徴です。
真宗大谷派の金仏壇
黒い柱は東本願寺の阿弥陀堂、二重屋根は大師堂を模して造られています。
全体的に金箔で覆われていますが、随所に黒漆を用いた装飾が施されています。
宮殿は二重瓦屋根で、高欄(こうらん)は朱塗りとなっており、擬宝珠(ぎぼし)は金箔、外柱の飾りは金箔と黒漆塗りと豪華絢爛な造りです。
浄土真宗でも唐木仏壇やモダン仏壇をお使いになれます
浄土真宗としてはやはり金仏壇を基本としているのですが、最近は唐木仏壇やモダン仏壇(家具調仏壇)を使われる方が増えています。
住宅事情が変わりマンションの限られたスペース、そしてオシャレな家具でそろえた洋風リビングには、金仏壇を設置するのは少し無理があるのかもしれません。
ただ、浄土真宗の方が金仏壇以外のお仏壇を購入する前には、付き合いのあるお寺様のご僧侶に相談してみた方がいいでしょう。
唐木仏壇
唐木仏壇は材質に唐木(シタン、コクタン、タガヤサンなど)様々な種類が使われており、国産の木材はもとより近年では外国産のものや、プラスチック製のものも作られています。
お仏壇は末永く大事にしたいものですから、耐久性の高い唐木仏壇を選ぶというのも良い選択でしょう。
モダン仏壇
モダン仏壇(家具調仏壇)は、現代の住宅環境に合わせて洋和室どちらにでもお使いになれるタイプです。
サイズ、色やデザインが豊富で、洋風のおしゃれなインテリアにも合わせやすいモダン仏壇には、若い方を中心として人気が集まっています。
浄土真宗のお仏壇は自分の宗派と菩提寺の意向を確認してから選びましょう
お仏壇を購入する前には、ご自身の宗派や付き合いのあるお寺様のご僧侶のご意向を確認しておきましょう。
宗派を確認する
浄土真宗は主に本願寺派と大谷派の名があげられますが、真宗十派と呼ばれるほどに多くの宗派があります。
それぞれの宗派に合わせてお仏壇はもとより、祀られるご本尊やその祀り方、お供えに使う仏具なども異なってくるで、自分の宗派がはっきり分からない場合は親戚の方などに聞いてみるのがいいでしょう。
お寺様のご意向の確認
浄土真宗には、多くの末寺が在籍しています。各お寺様がそれぞれの宗旨のもと、様々なお考えを持たれています。
たとえば浄土真宗でお仏壇を購入する際によく注意されるのは
・金仏壇や金仏具を使う
・ご本尊は本山から迎えた掛け軸のみ
・お位牌は祀らない
の3点ですが禁止事項という訳ではないので、ご僧侶のお考えを伺ってから決めるというのがよいでしょう。
葬儀でも法事でも末永くお世話になる菩提寺ですから、やはりお仏壇を選ぶ際には、付き合いのあるお寺様のご意向は尊重したいものです。
この記事では、浄土真宗で使われるお仏壇の種類や特徴、購入する前に確認すべきポイントを解説しました。
浄土真宗で推奨されるのは金仏壇ですが、唐木仏壇やモダン仏壇もお使いいただけます。
それと反対に、金仏壇は確かに浄土真宗を中心に発展してきたお仏壇ですが、どの宗派の方でもお使いいただけます。
大切なのは、購入する前に「お付き合いのあるお寺様のご僧侶にお話をうかがうこと」です。
きっとその地域に根ざした考え方をお持ちのご僧侶が、適切な助言をしてくださることでしょう。